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〈関係性〉の「形式化」とはなにか――【用語集】『〈自己完結社会〉の成立』


〈関係性〉の「形式化」 【かんけいせいのけいしきか】

 「この〈関係性〉の型としての〈間柄〉が、〈関係性〉を制御する仕組みとなりうるのは、それを共有することによって、われわれが互いの「〈我‐汝〉の構造」を「形式化」することができるようになるためである。……より端的に言えば、ここでは互いが無理をして「相手を知る」必要などない。逆にそれゆえ、互いにまったくの初対面であったとしても、われわれは簡単に〈関係性〉を成立させ、円滑な相互作用を実現することができるのである。」 

上巻 215-216

 人々が「人間的〈関係性〉」を構築する際、〈間柄〉を介在させることで、互いの振る舞いを予測可能なものにし、〈関係性〉の負担(「内的緊張」)を軽減させるメカニズムのこと。

 これと逆の作用として、〈関係性〉の「脱形式化」があり、これは一度〈間柄〉として向き合ったもの同士が、敢えて〈間柄〉の背後にある「私」の顔を覗かせることで、再び「〈我‐汝〉の構造」としても向き合おうとすることを意味する。

 この〈間柄〉と「〈我‐汝〉の構造」をめぐる向きあい方の割合調節するメカニズムを、本書では〈距離〉と呼んでいる。

上柿崇英『〈自己完結社会〉の成立――環境哲学と現代人間学のための思想的試み(上巻/下巻)』(農林統計出版、2021年)

 このページでは、筆者が2021年に刊行した『〈自己完結社会〉の成立――環境哲学と現代人間学のための思想的試み(上巻/下巻)』(農林統計出版)に登場する用語(キーワード)についての概略、および他の用語との関係について説明したウェブ版の用語集のnote版です。

 (現在リンク先は、すべてウェブ版を借用していますが、徐々にnote版に切り替えていく予定です。

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