「〈間柄〉を引き受けるものとしての〈役割〉」とはなにか――【用語集】『〈自己完結社会〉の成立』
「〈間柄〉を引き受けるものとしての〈役割〉」 【あいだがらをひきうけるものとしてのやくわり】
「〈共同〉のための作法や知恵」としての〈役割〉の原理の一形態で、「人間的〈関係性〉」において、互いの振る舞いを規定する枠組みである〈間柄〉を人々が引き受ける場面で生じるもののこと。
〈間柄〉は、振る舞いの型であるところの〈間柄規定〉を媒介することで〈この私〉同士が直接対峙する事態を回避し、〈関係性〉の負担を軽減させる。この作用と似て、〈共同〉に際して、特定の〈間柄〉が介在するとき、〈共同〉の中身や分担の形、負担の形が〈間柄〉によって規定されることがある。
このとき〈共同〉は、合意形成の手間を省き、人々の意識を「共同行為」の達成に集中させることで、〈共同〉の負担を軽減させる。他方で、〈間柄〉によって規定された「共同行為」は、意に反して割りあてられた負担ともなり、その結果さまざまな不満や不合理の温床ともなる(例えば上司と部下という〈間柄〉による役割分担によって業務の遂行が効率化するが、その上限関係が望まないものだった場合など、結果的に不満や不合理をもたらすことがある)。
このページでは、筆者が2021年に刊行した『〈自己完結社会〉の成立――環境哲学と現代人間学のための思想的試み(上巻/下巻)』(農林統計出版)に登場する用語(キーワード)についての概略、および他の用語との関係について説明したウェブ版の用語集のnote版です。
(現在リンク先は、すべてウェブ版を借用していますが、徐々にnote版に切り替えていく予定です。