〈生存〉の実現とはなにか――【用語集】『〈自己完結社会〉の成立』
〈生存〉の実現 【せいぞんのじつげん】
人間存在が“生きる”と表現する営為の根幹にある「〈生〉の三契機」のひとつで、「暮らしとしての生活」の基盤をなし、人間存在の生命性という側面に結びつく。人間存在もまた生物存在の一員であることを象徴するもので、西洋近代哲学の人間観においてしばしば軽視されてきた。
三契機のうち最も基底となる契機であり、進化論的な文脈においては、「集団的〈生存〉」(複数の個体と協力することで〈生存〉を実現する)の高度化こそが、「〈生〉の舞台装置」としての〈社会〉の成立を促し(〈根源的葛藤〉の負担軽減)、この「〈生〉の舞台装置」としての〈社会〉の十全な運営を実現するためにこそ〈現実存在〉の実現が、また「〈生〉の舞台装置」としての〈社会〉の世代間の受け渡しを実現するためにこそ〈継承〉の実現という契機が出現してきたと考えることができる。
このページでは、筆者が2021年に刊行した『〈自己完結社会〉の成立――環境哲学と現代人間学のための思想的試み(上巻/下巻)』(農林統計出版)に登場する用語(キーワード)についての概略、および他の用語との関係について説明したウェブ版の用語集のnote版です。
(現在リンク先は、すべてウェブ版を借用していますが、徐々にnote版に切り替えていく予定です。