「共同行為」とはなにか――【用語集】『〈自己完結社会〉の成立』
「共同行為」 【きょうどうこうい】
「牧歌主義的―弁証法的共同論」の影響によって、共同概念がしばしば「相互扶助的で共感的なあり方」や「社会性一般」と置換可能な“状態”としての意味合い(共同性)で語られてきたことから、共同概念に元々備わる「複数の人間が何かを一緒に行う」といった“行為”の側面を強調する場合にこのように言う(本書ではそれを〈共同〉と記述する)。
「牧歌主義的―弁証法的共同論」では、「自由な個性と共同性の止揚」という魔術的なレトリックによって、あたかも「共同行為」が、自由選択と自発性によって、何の負担も伴わず無条件的に成立しうるかのように論じられる。
しかし「共同行為」が十全に実現するためには、その負担を乗り越えるためのさまざま契機が必要である。「〈共同〉のための事実」の共有、「〈共同〉のための意味」の共有、「〈共同〉のための技能」の共有、あるいは〈役割〉、〈信頼〉、〈許し〉といった「〈共同〉のための作法や知恵」は、こうした契機に関わるものである。
このページでは、筆者が2021年に刊行した『〈自己完結社会〉の成立――環境哲学と現代人間学のための思想的試み(上巻/下巻)』(農林統計出版)に登場する用語(キーワード)についての概略、および他の用語との関係について説明したウェブ版の用語集のnote版です。
(現在リンク先は、すべてウェブ版を借用していますが、徐々にnote版に切り替えていく予定です。