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「集団的〈生存〉」とはなにか――【用語集】『〈自己完結社会〉の成立』


「集団的〈生存〉」 【しゅうだんてきせいぞん】

 「例えばわれわれが属する哺乳類では、多くの場合“群れ”を構成し、集団を通じて〈生存〉を実現していると言えるだろう。このことを本書では、「集団的〈生存〉」と呼ぶことにしたい。ただし、ここで気づかされるのは、人間の行う「集団的〈生存〉」が、“質的側面”……においても、“量的側面”……においても、異常なほどに突出しているということである。人間という存在は、哺乳類のなかでも、まさに群を抜いて「集団的」な生物存在であると言えるのである。」 

上巻 157

 社会性を備えた生物存在が〈生存〉の実現を行う際、それを集団的に実現することを指す。特に質的にも量的にも集団性を突出させた人間の場合は、ここに「皆と一緒に、いかに〈生存〉するのか」という形で、「私が〈生存〉すること」と「皆が〈生存〉すること」が限りなく接近していることが含意されている。

 またこのことは、両者が限りなく一致していながらも、完全には一致していないという点で矛盾が内在していることも含意されており(〈根源的葛藤〉)、人間存在が「〈生〉の舞台装置」としての〈社会〉を生みだすよう進化したのは、「〈生〉の分析」(第二のアプローチ)の文脈では、こうした〈根源的葛藤〉がもたらす矛盾のストレスを軽減させ、より高度な「集団的〈生存〉」を実現するためであったと理解される。

上柿崇英『〈自己完結社会〉の成立――環境哲学と現代人間学のための思想的試み(上巻/下巻)』(農林統計出版、2021年)

 このページでは、筆者が2021年に刊行した『〈自己完結社会〉の成立――環境哲学と現代人間学のための思想的試み(上巻/下巻)』(農林統計出版)に登場する用語(キーワード)についての概略、および他の用語との関係について説明したウェブ版の用語集のnote版です。

 (現在リンク先は、すべてウェブ版を借用していますが、徐々にnote版に切り替えていく予定です。

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