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勉強中の小学生が突然死……。命を奪った物は「鉛筆のキャップ」だった【1950年4月16日】
1950年4月15日、東京都国分寺にあるそろばん塾で、授業中に小学生のAくんが突然倒れた。Aくんはすぐ病院に運び込まれたが、人工呼吸の甲斐なくまもなく死亡した。
いったいAくんはなぜ亡くなったのか……? 遺体を調べたところ、声帯に固いものがひっかかり気道を塞いでいることが確認された。引っ張り出してみると、それは青いセルロイド製の鉛筆キャップだったという。
さらに、Aくんがそろばんの練習中にキャップをしゃぶっていたところも目撃されている。そのため警察は、ちょっとしたはずみでキャップが喉の中に入り窒息死したという見解を発表した。
また、この事件を受けて朝日新聞は1950年4月19日夕刊に、東大病院耳鼻科医局長の大木稔文さんに取材した意見を載せている。
大木さんは「鉛筆のキャップの先に穴が空いていたらAくんはきっと助かった」と残念そうにコメント。さらに、危ない物はキャップだけではないとし「口から飲み込んで気管にものが入ってしまうことは非常に多い。多いときは、1日に子供や大人が3人も病院にかけつけてくる」と、似たような事例の患者の多さを語った。
また「鉛筆のキャップの先に穴を空けた方がいいということは、学会でも議論されたことがある」「それから穴あきキャップも作られるようになったが、穴空きのものは1個3円。空いていないものは2円。店頭には空いていない方がたくさん出ている。業者にとっては安くて売れる方がいいだろうが子供たちのことも考えて欲しい」と、値段の関係から穴が空いた安全なキャップが出回らないことに危機感を表明した。
現代では幸いにも多くの鉛筆キャップに穴が空いている。二度とこのような悲惨な事故が起きませんようにという想いが、穴空きキャップの普及に繋がったのかもしれない。時代を感じさせられる悲しい事故だった。
参考文献:朝日新聞1950年4月16日朝刊、朝日新聞同年4月19日夕刊