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京島鉢日記|5. めまぐるしきスパイラル

12:00起床、室温18度、曇り。めちゃくちゃ寒くて起きれない。

EXPOはお休みの日、一件の打ち合わせを除いて決まった予定はない。溜め込んだ原稿を自宅でモリモリ進める。工房の環境は好きだし、人がふらりとやってきてワイワイするのも好きだが、人目を気にせず集中するには自宅が向いている。寂しい時には街に出て、そうじゃないなら引きこもる。そんな塩梅で、オンオフを切り替えられる程良さがある。

昨晩は鉢日記をアップした後、参加している京島トキメキ合唱団の作戦会議があった。10人ほどのメンバーが集まる場所として、去年も使ってもらった気がする。すごく寒かった記憶があるが、今年はエアコンがついたので安心だ。両隣の家があるのでさすがに歌の練習はできないが、机を囲んで話すくらいはできる。

引っ越して数ヶ月のタイミングで誘われ参加した合唱団、歌うことなど学生ぶりだったけれど、素人ながらも楽譜が読めたり声が出たりする過程が楽しく、週に一度の練習をけっこう楽しみにしている。今年はEテレ好きな自分としてはツボである、宮川彬良さんの曲を歌えたことも嬉しかった。


本日の鉢『ワナビー五線譜スパイラル』

楽譜をモチーフにした、五線譜が上に向かって伸びていくような鉢を作ろうと思い立つ。回転形状の鉢を作るためには、断面をどう区切り、その中で線をどう描くかがミソだとわかってきた。奥行きのある自由曲面はまだ難しいので、Spiralコマンドで生成したラインに平面を走らせることとする。やってみてわかったのは、トグロ巻きの形状は、いとも簡単にうんちっぽくなること。僕の想像力が貧困なのか、人類の抗えない性なのか。

3Dプリントする際に仮の足場(サポート材)がつかないよう、傾きなどを意識しながら設計する。内側は滑らか、外側は段々という楽しい形ができあがった。植木鉢というテーマもそうだが、3Dプリントという生産手段の縛りがあることで、作業の迷いがなくなってスピード感が出る。自由は難しい。時間をかければ五線譜風の鉢にもまたチャレンジできそうだ。


黙々とキーボードを叩く時間と、追われるようにしてモデリングをする時間と。明後日にはまたEXPOのお客さんが訪れ、きっと賑やかさが戻ってくる。個人の時間と街や工房での時間とが交互にやってきて、本当に何もしない日を過ごしたのはいつぶりだろう。

とはいえこんな企画をやっているのも、10月の間は自分に負荷をかけて、ちょっと背伸びして頑張りたいからだ。フリーランスという仕事柄、人と接さない選択肢は簡単で、がしかしそのままではジリ貧になること請け合いだ。場所を街に開き接点を持ち、時には自分に無茶振りでもしないと、この先が広がっていかない。別にネガティブな意味じゃなく、周りに叩き上げられるような感覚をどこかで持っている。

このnoteは「すみだ向島EXPO2024」内の企画、京島鉢日記 / Kyojima Pot Diary として 淺野義弘(京島共同凸工所)によって書かれているものです。

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