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京島鉢日記|14. 残す模様と消す模様
10:30起床、室温23度、くもり。
金曜日はラボの営業日。夜に別所で取材があり短縮営業としたが、予約や飛び込みなど多くの人たちが来てくれた。通常こういう場を運営するのであれば、予約何日前だとかキャンセル料とか決めるべきなのだろうが、京島タイムに甘んじてフワッとしたまま一年が過ぎている。リマインドを送ることぐらいは身につけようか。
3Dプリンター、2Dプリンター、カッティングマシン、レーザーカッター、この辺りが主力の装置で、ここに机を囲んで打ち合わせなど重なるとラボは大わらわ。操作に慣れている人なら良いのだが、そうとも限らないし、EXPO期間中はふらりと訪れる人への説明などもしたいので俺が足りない。かといって同じ空間で別の仕事をし続けて真顔も変だし、難しいところですね。
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今日の鉢「ソリッドコーラム」
EXPO期間中、アーティストの山下なおさんがコーラムをラボの前に描いてくれている。凸工所のエレキな設備やデジタルな気配を映し取った、毎回違くて痺れる作品だ。今日は大学の後輩がラボに来て、石板にレーザーカットで彫刻したいというお題に一緒にチャレンジしていたのだが、帰り際になおさんと邂逅し言葉を交わしていた。石への彫刻と米粉の飾り、時間軸の方向性が真逆で面白い。
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コーラムは建物の入り口に米粉で描かれるため、人の往来に合わせて消えていく。たくさんの人がやってきたことを表すため、かすれることは吉兆とされるそうだ。とはいえ、これほど格好いい模様なのだから、別の形で記録に残してみてもいいだろう。
3Dモデルを作るために形をなぞると、改めてその複雑さと美しさに感動する。これを下書きなしの十分くらいで仕上げるのだから、脳と手先がどう結びつくのか気になって仕方がない。線の描画はプログラマブルでもあり、さすがゼロを見つけたインドの文化と言えるだろうか。
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夜の取材を終えてヘトヘトになり、金曜日だしよく働いたしで家の近くでワインを飲む。ラボの運営やEXPO、個人的な用事て行く頻度が減ってしまったのだが、その分たくさん楽しんだ。いい場所をいい人たちと切り盛りしていくこと、個人経営者の人たちは皆すごい。
このnoteは「すみだ向島EXPO2024」内の企画、京島鉢日記 / Kyojima Pot Diary として 淺野義弘(京島共同凸工所)によって書かれているものです。