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月夜の花見

今夜はやけに寒い
ついさっきまで
雨が降っていたせいか
多少湿り気を帯びた
前髪をかき上げながら
ぼんやりする間にも
確かに動き続けている
月光のゆらぎを吸い込む

幾日か欠けた姿と
肩を並べるように
それほど立派でもない
花の色は夜に溶けて
仄かに浮かんでは
まるで息を止めている
静止した姿の裏側で
じくじくとした生命が宿る

やりたいことなんて何もなかった放課後 ぺっちゃんこにした鞄に詰め込んだ反逆 帰る所があるから座り込んだ深夜の路上 変えたい何者かを捕まえられなかった声 振り向くばかりの今から届けたいエール