見出し画像

今日から雨天

低気圧が描き出す
何重にもなる等圧線は
蜘蛛の巣みたいに
地表の幕に張り付いて
捕らえられた前線は
絶命するまで泣いている

傘をさしたがる
子供になりたての僕は
濡らした髪の毛から
水滴が再び落ちてくるまで
待っていたい僕を
黙り込む様に覗き込む

雨の匂いは
大通りから脇に入って
細長く伸びた坂道を
曲がりくねった先に見える
あの山の天辺まで
これから歩き始める所

いいなと思ったら応援しよう!

壱貫亨治
やりたいことなんて何もなかった放課後 ぺっちゃんこにした鞄に詰め込んだ反逆 帰る所があるから座り込んだ深夜の路上 変えたい何者かを捕まえられなかった声 振り向くばかりの今から届けたいエール