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私の中心

世を憂うなんて大義も
今に始まった事じゃなく
どんな時代であろうが
それなりに存在していたわけで

そいつらの想いの一欠片でも
誰かの可哀想な胸を捉えて離さず
かけがえのない何物かとして
時々は光を放つ事もあったろうか

そんな輝きも容易に塗り潰す
目まぐるしく移ろうだけの街と人
微かにでも残されていると言えるのは
錯視的伝記と神頼みの誤算

可憐な蝶々にでもなりたかった
そのためにはイモムシにでもなれた
けれど扉を叩き続けるのは
それを否定しようとする私の中心

やりたいことなんて何もなかった放課後 ぺっちゃんこにした鞄に詰め込んだ反逆 帰る所があるから座り込んだ深夜の路上 変えたい何者かを捕まえられなかった声 振り向くばかりの今から届けたいエール