見出し画像

嬉しいな

風呂上りの夜風は
まるで僕を待っていたみたいに
何だかムズムズしながら
夜の顔を撫でて
ざわりざわりと
心地の良い囀りを
自らの意志で奏でるから
僕はなるべく
優しさを知りたいと願いながら
ぼんやりと
ぼんやりしているだけ
もう何も要らない事が
こんなにも満ちていくのは
きっと有り余る過去たちが
ようやく伝えに来たのだろう
それはこれっぽっちも嘘じゃないから
誰かに教えに行きたいとも思うけど
今はまだ
僕の心に隠しておくよ

嬉しいな
理由を聞くのは
野暮だろう
知らないままで
構わないから

やりたいことなんて何もなかった放課後 ぺっちゃんこにした鞄に詰め込んだ反逆 帰る所があるから座り込んだ深夜の路上 変えたい何者かを捕まえられなかった声 振り向くばかりの今から届けたいエール