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賽銭箱に蜘蛛の糸

神頼みでもしに行こう
何年振りかの無信心
願いが叶ってしまったら
礼を言うのも忘れがち
杉の木立の参道は
山の斜面に横たわり
静かにこちらを窺って
陰徳申告審査中
これでも昔は純粋で
バカが付くほど正直に
世間に飛び込み泳いだが
溺れてばかりの落ちこぼれ
次第に狡さも習得し
やられる前にやるだけと
ドラマが美化する勘違い
もとより悲劇の結末に
喜劇と美談を演出し
目覚めぬように酔いしれる
残った過去の忌まわしさ
これから何処まで抱えるか
捨てたら捨てたでゴミの日も
曜日を誤り未回収
けじめも許しも手の内か
堂々巡りの思惑が
詰まり始めた塩梅で
賽銭箱に蜘蛛の糸
二礼二拍手一礼に
金と救いを嘲りたい
神よ一緒に笑いたもう

やりたいことなんて何もなかった放課後 ぺっちゃんこにした鞄に詰め込んだ反逆 帰る所があるから座り込んだ深夜の路上 変えたい何者かを捕まえられなかった声 振り向くばかりの今から届けたいエール