見出し画像

ベースキャンプ

険しい山間を抜け
進路は遥か先に霞む
緩やかな丘陵地にて
束の間の休息を求む

草花は必要以上に育たず
木々の姿は失って久しい
果たして行軍の行く末
新たな地平は何をもたらす

疲労の蓄積には抗えず
確かな綻びは至る所
看過するのも憚るとは言え
何もかもがすでに手遅れ

もう幾晩も物言わぬ友
眼光に反射していた希望は
やはり他愛無い幻だったか
それでも行かねばならぬ

訳の分からぬ合言葉が
実しやかに響き渡る
思考とは都合の良い分身
ベースキャンプの一幕

やりたいことなんて何もなかった放課後 ぺっちゃんこにした鞄に詰め込んだ反逆 帰る所があるから座り込んだ深夜の路上 変えたい何者かを捕まえられなかった声 振り向くばかりの今から届けたいエール