見出し画像

山で誰かが笛を吹く

立ち止まってはくれない
連続的な季節間の移ろいに
大切に思える何者を刻み

面影の余韻を創造しよう

すっかり暖かくなった
僕はまだ手袋をはめていたい
新緑の予兆と散り急ぐ花弁

山で誰かが笛を吹く

風呂上がりの湯冷まし
肩をすぼめた暑がりの犬は
夜の日陰に隠れていたい

別々に寝ながら同じ夢を見よう

山際に膨らみ始める月光
見えない地平に着地するリゲル
北極星はどちらを向いている

山で誰かが笛を吹く

いいなと思ったら応援しよう!

壱貫亨治
やりたいことなんて何もなかった放課後 ぺっちゃんこにした鞄に詰め込んだ反逆 帰る所があるから座り込んだ深夜の路上 変えたい何者かを捕まえられなかった声 振り向くばかりの今から届けたいエール