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不登校の要因を「客観性」を重視してまとめてみた

今日はかき氷の日なんだそうな。

幼い頃は、
雪が降るときに器を外に置いておき、
雪がたまったらシロップをかけて食べていたなぁ・・・

我ながら自由な家庭よ・・・笑


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教育、人間、人生など、様々な「知恵」や「情報」が詰まった図書館のような、皆さんがくつろぎ、人生の「気付き」を得たり、知的好奇心を満たしたりできる居場所を目指しています😌

どうぞ、ごゆるりとお過ごしください。

共育LIBRARYりょーやん、元教師です。


不登校30万人。

(自ら学校に行かない選択をした子どもいると思いますが、この記事では不登校と統一させてもらいます)

令和4年度の調査結果が発表され、
そのあまりの増加率の大きさに、
様々な人が衝撃を受けました。

10年前の水準に比べ、
中学生では2倍強
小学生では5.5倍までの増加です。

その要因は何なのでしょうか。

先日、カオラさんが、
文科省の調査に対して疑問を抱く記事を
投稿していました。

これでは、半数以上が

「無気力・不安が要因で不登校」

という結論になってしまいます。

明らかに偏り過ぎです。

近年の不登校は、

「え?あの子が不登校?なんで?」

と周囲が思ってしまうような、
明確な理由が一見すると分からない
不登校も増えています。

新潟大学教授・臨床心理士の
神村栄一氏は、これを

「令和型不登校」

と表現しました。

学校の教員も、
保護者も、
本人すらも、

「学校になぜ行かない/行きたくないのかが分からない」

状態。

もしくは、言語化できない

最近、
不登校に関する資料を集める必要があり、
様々な書籍や論文を漁っていました。

多角的に不登校という状態をみると、
本当に様々な要素が複合的に作用し合って、
子どもの心に何らかの変化を起こしている感覚を
強くしています。

人間は
「行為者・観察者バイアス」がかかるので、
どうしても責任の所在に歪みが生じがちになります。

それは、
筆者も例外ではありません。

よって、
書籍や論文からの客観的なデータを扱う部分と、
筆者の解釈区別しながら、
不登校の要因を深めていきます。

あくまで、
一部のデータ、
個人の解釈ですので、
拡大解釈にならぬよう見てくださればと思います。



不登校の要因

不登校の要因を
ざっと列挙してみます。

▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢

❶人間関係
❷学業の不振
❸発達障害特性
❹小児慢性疲労症候群
❺起立性調節障害
❻スマートフォン
❼家庭環境
❽その他特性
❾社会・時代の変化

▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢

まだまだ他にもあるかもしれませんが、
とりあえず、この記事では
この9つに絞っていきます。


人間関係

2021年に行われた
文部科学省の調査では、

前年度に不登校を経験した
小6生、中2生に調査した
結果が紹介されています。

「最初に(学校に)行きづらいと感じ始めたきっかけ」

という質問に対して、

小学6年生713名では、
29.7%

「先生のこと(先生と合わなかった、先生が怖かった、体罰があったなど)」

選択していたことになっています。

中学2年生1303名では、
同選択をした生徒は、
27.5%だったそうです。

他にも、

・身体の不調
・生活リズムの乱れ
・友達のこと
・勉強、テストの点

などの項目が
上位にあがってきます。

(本当は細かく記述したいのですが長くなってしまうので、簡潔に)

人間関係というのは、
要因としてあると考えることができそうです。


学業の不振/発達障害特性

前章でも、
学習に関することが、
「行きづらいと感じるきっかけ」に
あげられていました。

学習は、
発達障害特性と密接に関係するので、
1つの章にまとめます。

まずは客観的なデータから。

島根大学病院思春期外来に訪れた、
不登校、登校しぶりを主訴に受診した
生徒に関するものです。

中学生62人、
高校生53人の合計115名

115名の中には、
受診によって以下のような
特性があると診断された生徒がいます。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

社交不安障害55人(48%)
ASD/ADHD26人(23%)
適応障害17人(15%)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

適応障害は、
特性ではありませんね。

1つのデータでは偏るので他にも。

旭川医科大学小児科
子ども発達診療センター
を受診した
不登校児80名に関して。

不登校児の
57%が発達障害と診断。
(広汎性発達障害※ASD/ADHD)

24%が不安障害などの
精神疾患を有していた。

91%に睡眠障害や頭痛などの
身体症状が見られたそうです。

発達障害と診断された児童のうち、
87%が不登校になって初めて
発達障害と診断された
そうです。

上記の2つのデータは、
LDに関するものが全くありません。

医療なので、
LDとは診断できないのかもしれませんね。

対して、
鳥取県の全小中学校
発達障害の児童生徒の
不登校発現率を調べた調査では、
LDのことについて言及しています。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【小学校】
LD 29人中10人(34.5%)
ADHD 43人中1人(2.3%)

【中学校】
LD 42人中25人(59.5%)
ADHD 33人中13人(39.4%)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

となっています。

かなり古いデータなので、
不登校児自体の数が少ないです。

こういった様々な調査をみると、
発達障害/発達凸凹、
及びそれによる学業不振
要因の1つとして考えられそうです。


小児慢性疲労症候群

慢性疲労症候群とは、
原因不明の全身倦怠感、
微熱や思考力の障害などが、
長期的に持続する疾患です。

不登校状態にある生徒児童の
約40%小児生疲労症候群の
診断基準を満たしている
ことが
調査の結果として出ています。

脳の状態を測定してみると、

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

・実行機能/注意制御機能の低下
・セロトニン機能低下
・学習意欲の低下

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

といった状態が見られることが分かりました。

疲労の症状が強いほど、
脳の「被殻」という部位の活性度が低いようです。

前頭葉、
前頭前野、
実行機能の低下は、
色々な活動に支障を与えそうです。


起立性調節障害

起立性調節障害とは、
自律神経機能不全によって、
「起立」したときに、
さまざまな不快な症状が現れやすくなる障害です。

昭和大学保健管理センター所長、
昭和大学院小児科教授の、
田中大介氏は、

起立調節障害は、
思春期全体の約1割抱えている
ことを述べています。

女子の方が男子より発症しやすく、
中学生女子の25.6%に症状が見られ、
30年前に比べて10%以上増えている。

中学の不登校児の3~4割に症状が見られ、

不登校児の約7割の子どもに、
軽重の差はあれ、
朝起き不良、頭痛、全身倦怠、立ち眩みといった、
症状が見られているそうです。

起立性調節障害になる
身体的な特性も、
要因の1つとして考えられるでしょう。


スマートフォン

冒頭に紹介した、
新潟大学教授の神村氏は、

「スマートフォンが平成22~23年度から急速に広まり、平成25年度には一気に世帯普及率が6割超えとなった時期に重なることは重要なポイントになる」

と述べています。

東北大学加齢医学研究所によると、

スマートフォンの長時間の使用は、
脳の神経細胞の集まっている、
白質への悪影響があることを述べています。

他にも、
様々な発達に影響を与える脳の部位に、
悪影響があることが分かりました。

前頭前野、
海馬、
言葉に関する領域、
感情や報酬を処理する領域などです。

ちなみに、
紙の辞書で調べものをした場合と、
スマホで調べものをした場合は、

紙で辞書をを引く行為の方が、
前頭前野の活動が高まることが分かっています。

スマートフォンの長時間の使用も、
前頭前野、
つまり実行機能へのダメージがある。

要因の1つと言えそうです。


家庭環境

家庭環境に関しては、
まだ明確なデータはまだ探索中です。

ただ、
虐待や愛着障害についての記事は
様々伝えてきたので、
ここでは過去記事を張り付けるだけに
しておきます。

様々な心理療法を学んでいるのですが、
複雑な要因が絡み合っていると言えそうです。


その他特性

発達障害になり得る特性ではなく、
その他の特性です。

HSPや、
LGBTQなどですね。

これは完全に経験則です。

筆者がこれまで出会った不登校児で、
以上のような特性をもつ子どもがいました。

当時はようやくHSPという概念を知り、
HSP気質かもな~と思っていた男の子でしたが、

真面目だけど冗談も言えて、
スポーツもよくできて、
友達からも人気で、
学力も安定している子だったので、

学年が上がってクラスが変わってから、
不登校になったと知って意外だったことを覚えています。

最後に勤務した学校では、
LGBTQといった気質をもつ子ども/家庭が、
3世帯学校に在籍していたのですが、

2つの家庭が不登校
(1家庭は姉妹とも)

もう1家庭は登校しぶり
(卒業をした兄姉3人の内2人不登校)

といった状態でした。

データでも何でもないので、
因果関係は全く分かりません。

「その特性があるから不登校になった」より、
「学校という場に違和感をもって」が主たる理由である気がします。

要因の1つということで、
あげておきます。


社会/時代の変化

ここからは筆者の考えで。

現代は「社会的な圧迫感」のようなものが
強い時代だと感じています。

公園でも自由に遊べない。
何かあればすぐクレームがくる。
日本の未来はどうなるのかという不安。

そういった社会の
不寛容さ不安な空気は、
ダイレクトに子どもに影響を与えます。

また、現代の子は、

「揉まれる」

という経験も少ないです。

清潔さや平和が過剰に進み、
ちょっとの汚れや、
ちょっとの不和に対しても、
過剰にストレスを受けるようになっています。

人間の感覚は、
微量な刺激の方が
却って大きな感覚反応を起こす
という法則があります。
(ウェーバーの法則)

普段が平和で刺激が皆無だと、
ちょっとの喧嘩でも、
非常にダメージを負ってしまいます。

現代の若い子が、
相手に断られるのがこわくて、
恋愛をする人数が減っているように。

守られてきた学生時代から、
社会という闘う舞台に出ると、
途端にメンタルが折れてしまうように。

極端な例ですが、
戦争を経験した人が、

「これぐらいの苦労、戦時中に比べればなんてことない」

と強くあれるように、
幼少期の環境刺激が弱いほど、
人間は弱くなっていく生き物なのかもしれません。

障害児者数の「精神」の人数が、
6年前に比べて
2倍に増えているのですから、
こういった要素も考えられそうです。


まとめ

なるべく自分自身の偏りが出ぬよう、
客観性を重視してまとめたつもりですが、
いかがだったでしょうか。

うつ病の発症は、
周囲からのストレスの環境原因と、
過去に負った心の傷という根本原因
重なったときに起きるという説があります。

それと同じように、
様々な要素が複合的に重なり合って、
表面化することによって

「不登校」

という状態になるのだと、
現在は解釈しています。

とはいえ
まだまだ不明なことも、
自分自身が分かっていないことも多い。

これからも学び続けていきたいです。


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です。

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ドーパミンについて
興味深いことが分かってきたので、
それを一度まとめてみます。

是非、楽しみにしていてください🎵

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