PTSD(トラウマ)は人間をどう変えてしまうのか?
もう水曜日!早い!
やはり1日祝日が入ると、
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共育LIBRARYりょーやん、元教師です。
「やめて~トラウマになるわ」
そんな軽快な口調で、
日常会話などでも使われる
「トラウマ」
という言葉。
いわゆる「心の傷」と
表現され、
これが深刻化すると、
心的外傷後ストレス障害(PTSD)に
なります。
このトラウマがあることによって、
人間はどうなってしまうのでしょうか。
どのような状態を
トラウマがあると言うのでしょうか。
発達障害に関する、
かなり恐ろしい情報を交えながら、
解説していきます。
筆者は心理の臨床経験がないので、
大人のメンタルに関しては
実証性があるアドバイスはできませんが、
発達凸凹が密接に絡む記事なので、
コメントありにしていきますね。
定義と症状
まず、トラウマの定義は、
「その人に備わっている対処のメカニズムを圧倒してしまうほどのストレスに満ちた回避不能な出来事」
となっています。
この対処できないストレスを、
一定期間浴び続けると、
心的外傷後ストレス障害(PTSD)に
なると言えるでしょう。
症状としては、
▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢
❶フラッシュバック
❷回避
❸認知・気分の否定的変化
❹覚醒と反応性の変化
▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢
が挙げられます。
フラッシュバックは、
脈絡なくトラウマ記憶がよみがえること。
回避は、
トラウマを想起させるような状況を避けること。
否定的変化は、
物事への興味関心を失ったり、
知人と疎遠になってしまったりすること。
覚醒と反応性は、
覚醒状態が高まり続けることによる
睡眠障害などの症状です。
トラウマの研究は、
アメリカ兵がベトナム戦争から
帰ってきてから非常に重要視されるようになりました。
戦争は、
当然ながら心が深く傷つきます。
帰国後、
ベトナム戦争に赴いた兵士を調べると、
98%が他の精神疾患になっていることが
分かったのです。
つまり、
トラウマをもっていると、
他の精神疾患にかかりやすくなると
いうことになります。
そして、
戦争がそれだけ恐ろしいものであることが、
改めて思い知らされますね。
生涯トラウマレベルの体験は、
男性61%、女性51%が経験すると
されており、
PTSDにまでなる人の、
生涯有病率は、10%程度とされています。
半数以上の人が、
トラウマ体験をもっていると言えるでしょう。
複雑性PTSD
近年は、PTSDの中にも、
さらに奥の世界が展開されるようになっています。
発達性トラウマ障害とも言う、
いわゆる、
発達障害×PTSD
の症状をもつケースの事例です。
そして
虐待、DVによって生じるPTSDを
複雑性PTSDとも表現されます。
つまり愛着障害×PTSDは
複雑性PTSDとなります。
発達障害の治療の
第一人者である
杉山登志郎氏は、
あいち小児保健医療総合センターで、
子ども虐待の専門外来である
「子育て支援外来」を
日本で初めて設立しました。
つまり、外来全員が
愛着障害をもっている子どもです。
杉山登志郎氏が
各学会に提出した論文には、
かなりショッキングなことが記載してありました。
10年間で訪れた被虐待児1110名のうち、
自閉スペクトラム症が323名(29%)
ADHDが174名(16%)
知的発達症が95名(9%)
となり、
発達障害診断の子どもは592名で、
全体の53%を占めていたそうです。
虐待と発達障害の関連性が示された、
日本では衝撃的な内容でした。
杉山氏は、
「発達障害に子どもの虐待が掛け算になった症例において、非行の率が跳ね上がる」
と述べています。
さらに衝撃的な事実もありました。
浜松医科大学
児童青年期精神医学講座に赴任し、
県立の児童自立支援施設から、
介入の依頼を受けた杉山氏。
施設長に許可を取り、
施設内の児童のアセスメントを行いました。
結果、
解離症・・・3割
ASD陽性者・・・75%
ADHD陽性者・・・50%
となり、
いずれかが陽性である者は8割を超えました。
8割です。
複雑性PTSDの症状では、
通常のPTSDの症状に加えて、
ささいなストレスへの暴発、
自己破壊的行動が見られたり、
人間関係の維持が非常に困難であったりします。
「養護施設が崩壊している」
と言われますが、
8割以上が発達障害×愛着障害の現場で、
子どもたちを自立するように育てていくのは、
不可能に近いです。
しかもこの調査が行われたのは、
2010年です。
虐待数、
発達障害児数、
不登校児が増え続けている現在は、
施設はもっと
緊迫感ある状況に
追い込まれていると言えそうです。
治療法
では治療法について。
治療法は、
言葉では伝わらないものもあるので、
こんな種類がある程度に、
捉えてくださればと思います。
▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢
■ 薬物療法
■ 持続エクスポージャー法
■ EMDR
▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢
まず薬物療法についてです。
PTSDに関しての場合は、
セロトニンを吸収しやすくなるような
薬が使用されます。
発達障害の特性をもっている場合は、
特性に対する薬を処方する必要も、
出てくる場合があるでしょう。
次に、
持続エクスポージャー法。
これは、
不安症などの治療時に使われる、
段々と刺激に慣らしていく療法です。
不安階層表のように、
不安のレベルを表に表し、
レベルの低いものから慣らしていきます。
一定時間が過ぎると、
不安という感情は落ち着いていくので、
逃避しなくてもコントロールできる感覚を
学んでいくのです。
そして次のEMDR。
これがかなり特殊な治療と言えそうです。
「Eye Movement Desensitization and Reprocessing」
の略で、
眼球運動による脱感作法と再処理法というもの。
要するに、
眼球を左右に動かしながら、
トラウマを想起していく治療法です。
もともとアメリカでエビデンスがとれ、
日本でも活用するようになったものですが、
研究者たちによると、
トラウマは右脳で生成されており、
目で追視する指に注意を向けていると、
ワーキングメモリが阻害されて、
トラウマに巻き込まれないで済むようなのです。
そして、眼球運動をしながら、
言語で説明させると、
左脳が活性化させるので、
感情に圧倒されずにトラウマを分析することができます。
感情をそこまで乱さずに、
トラウマの正体に
向き合うことができるということですね。
先に紹介した杉山氏は、
これらに加えてパルサーと呼ばれる手法を使い、
EMDRと同じ効果を、
個々の児童に分けて行うことができるよう
工夫を重ねていました。
浜松の自立支援施設では、
上記のような治療が行われ、
児童の情緒、行為、多動、
仲間関係において、
障害レベルが全て下がっていることが
数値で明確に評価されました。
加えて、
向社会性という、
人のために行動するような指標は、
数値が上がったそうです。
ただ、4分の3程度に改善したけれど、
まだ病理的レベルにはとどまっている状態。
少しは改善できるかもしれませんが、
治療だけではまだまだ道は遠いかもしれませんね。
そして、
こういった専門知識や技能をもっているドクターは、
全国でもそこまでの数がいないという実態があります。
この問題は、
まだ始まったばかりと言えそうです。
まとめ
杉山氏は、
「平成は発達障害の時代であった」
と述べています。
杉山氏が愛知県で働いていた頃は、
発達障害を専門とする精神科医は、
全国で10人程度しかいない状態だったようです。
若いドクターたちに、
「発達障害の専門家ですと宣言した途端、日本のトップになるという情けない領域ですが、あなたもやってみませんか」
と誘っていたそうですから。
しかし、令和の今はどうでしょうか。
発達障害はもはや、
教育界のメインストリームとなっています。
現在問題になっている
多様性、不登校、子どもたちの言語力など、
全てが発達障害が密接に絡んでいるものばかりです。
そんな中、杉山氏は、
「次の時代のテーマは何だろう」
と投げかけています。
友人の精神科医たちの多くが、
「依存症ではないか」と言う中、
杉山氏は「違うと思う」と記述しています。
筆者もそう思います。
多くの人が、
心の在り方に注目するようになり、
無意識に傷を抱えて生きてきていることが
分かってきました。
その傷がトリガーとなり、
うつ病、パニック症などが
引きおこることに多くの人が気づいてきています。
そして、
傷=虐待とも密接に関連するので、
愛着障害というものも、
メインテーマとなっていく気がします。
それらは対症療法ではなく、
根源を治療することなので、
様々な特性をもつ子どもたちにも、
よき影響を与えていくのだと信じています。
道のりは遠い。
しかし避けては通れない道となりそうです。
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いつもいつも、最後まで読んでくださり本当にありがとうございます!
明日の記事は、
📓幼児をお金に換算する社会
です。
幼児教育に危機意識をもつ
あるジャーナリスト×教育者が、
社会に対して疑問を投げかけました。
現代の社会は子どもをどう扱っているのか。
冷静に記事にまとめていきます。
是非、楽しみにしていてください🎵
皆さんの今日・明日がよき1日でありますように😊
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