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アパレル業界って、生産性低い?!

結論から言うと、

「はい、低いです。そして、当面上がりそうにないです」

と言うのが、現場に携わっている現役MDの考えとしての結論です。

  • アパレル業界は、「ファッションが好き」で動いている。

  • 「好き」が先に動いているので「効率」とか「知識」とかは、後回し。

  • 「人で売る」と言う文化、商習慣から入っているので、「人を使う」ことに長けている。裏を返せば「人以外を使って仕事をする」ことがとても苦手。

悪口のように聞こえてしまいそうですが、極めて客観的に記述しているつもりですし、それは現場に携わっている私自身の課題でもあると認識しているので、決して一方的な批判に終始しているわけではないことは、ご理解ください。

しかし、現場で実際にMDやバイヤー、企画業務に携わっているみなさんには思い当たる節が多少はあるのではないでしょうか?もちろん、全てのアパレル企業が上記のようなことに当てはまる、なんてことは申しませんが、有名な百貨店さんだったり、商社やメーカー様の話を伺っている限り、大体当てはまっているように感じます。

この業界の特徴として他の業界と比較すると、あることがとても多いな、って思うことがあります。それは「商品価格に対して携わる"人"の数がとても多い」と言うことです。

一部の業界では、工場の生産現場ではロボット化が劇的に進化し、生産効率が恐ろしく向上しているところもあります。IT系も同様ですね。半導体などはもう完全にロボットで完結している状況です。

ところが、アパレルではまだまだ多くの「人」が介在しています。例えば「縫う」と言う生産工程は、まだまだ「人」です。いやいやロボットでできるよ、と言う人もいますが、中国やバングラデシュの量産体制の工場なんかでロボットの導入なんてできるはずがありません。1900円のTシャツ作るのに、いまだに多くの工員さんがミシンを使って丁寧に1つずつ縫っているわけです。

そして、それを日本に運び、店舗へ振り分けるにも多くの人が携わっています。倉庫では何百人というパートさんやアルバイトさんたちが、日夜1つの商品をお店ごとに振り分ける作業を行ったりしています。もちろん、ロボットやマテハン(倉庫内で使われる業務用機器)を積極的に使っている企業もあると思いますが、そんなのはほんの一握り。

アパレル業界って、かなりの「人」に頼っているサプライチェーンであり、それを一括りにITやDXで片付けられるような課題ではないことが、生産性をなかなか向上させない背景の1つとしてあげられるのでは、と考えられます。

そして、もう1つが「好き」で動いているだけあって、工夫がなく、場当たり的な対処療法的な処方による課題解決でこれまでしのいできた経緯が、ある種の成功体験として刻まれてしまい、それらの概念をもった経営や幹部がいまだにそうした対応をとっていることも大きな原因の1つでは、と考えています。

アパレルの業界の売上を上げるためのビジネスモデルって
「量を売る」しかないのです。
商品を売る量を拡大させるためには、多くのお客様に、多くの商品を買ってもらうしかありません。ましてや、洋服って日用品と異なり、必要に迫られて日々買い求めるものではないため、なかなか購買動機を高めることができません。
では、どうしたら良いか。

結局のところ、
・店舗を増やす
しかないのです。
量を拡大することでしか、売上拡大の道がない。当たり前と言えば当たり前なのですが、これが先にお伝えしましたが、発注数を過剰に見積もってしまったり、量が増えれば、それだけ作る人、捌く人、売る人が増えてきます。結局さまざまなコストが引き上がってしまい、たくさん売っているんだけど、なんだか儲かってないな、と言うことになるのは、そういった理由があるから、だと考えています。

MDは真面目に、大好きな洋服を企画していて、悪いことは全然してないけど、何だかいつも怒られているような気がする・・・それは一体なぜか。

次回は、その辺りも少し深掘りに。

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