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夏のセール、なぜ6月?早くやる訳は?

アパレル業界に身を置くと、色々な「なんでそうなの?」と思うことにたくさん出会います。その1つがこの「6月に夏のセール」です。これから夏本番!って言うのに、なんでこんな早い時期にやるんだろう、といつも思ってました。正しい経緯や歴史などはあるんでしょうが、今回は私なりに業界に身を置いてきた中で推測し、考え出した理由を書き記したいと思います。

晩夏商品の先出し

これは、色々なブランドであり得るんじゃないかな、と思ってます。日々商品の動向を追っていて、この「晩夏シーズン」の商品ほど、在庫管理のやりづらいものはないです。

それは、晩夏シーズンとして設定する販売期間が「短い」ためです。言葉の通り、晩夏、というと夏の終わりの季節を指すと思います。よく「晩夏/初秋」と合わせて言われたりすることもあると思いますが、多少片足が「秋」に突っ込んでいるような季節感になります。そうすると、一般的な生活様式や暦、季節的な見方からすると、お盆明けの8月17日から秋分の日の前の9月22日くらいの1ヶ月を指すと思います。気温の推移とか、季節の移ろいからすると、そんな感じではないでしょうか?

なので、その頃からやり始めれば良いのですが、そうは問屋がおろしません。GW明けの5月後半は、その反動から売上が大きく落ちます。この間に気温も上昇して6月頭に梅雨入りするわけで、5月が「初夏」とすると、6月初めは気温が上がってくるので、いよいよ夏になるぞ、夏本番、と言う「盛夏」に入っていきます。

本来このあたりで「盛夏アイテム」をたくさん入れていくわけですが、先ほども言ったように売り上げが落ちるタイミングです。そこに輪をかけて、売れないような企画が目に見えて出てくるようになります。これは夏超えても売り切れないぞ、と。特にTシャツなどのカットソー類は価格も安価なだけに全体的な「仕入れ枚数」が増えます。当初の販売計画数より少しでも落ちると、計画未達となりかねない、また在庫処分に困ってしまう、と言うことになりかねないわけです。

売れない商品が店頭で溢れていたら、それはそれでよくない。どうしたら売れるのか。そう、売価変更して安くすることで在庫を消化し、店頭を「晩夏商品」に入れ替えてしまおう、と言う作戦に出やすい時期なわけです。

売れない商品を売価変更で安くして売るのは良いのですが、売った後どうするのか、がないとその手段に出られないわけです。また、次に出す「晩夏商品」と言うのは、まだまだ気温が暑い時期でも多少着られるような薄手のものが多い。盛夏ものとの区別がつきづらい場合もあります。そのため、あえて「セール」と在庫処分の口実を利用してワンクッション置くことで、店頭の鮮度を保ち、7月8月の晩夏シーズンを乗り切ろう、と言うことができるわけです。

この考え方は、おそらく今でも活用されているでしょう。売れていても、この6月の梅雨時期をうまく乗り越えるのは、商売上難しいところです。生活雑貨を扱っているライフスタイル系のブランドであれば、梅雨時期は「レイン」を店頭で謳って関連商品を集積し演出すれば、かなりの集客効果が見込めますが、アパレル単体ではそうもいかないからです。

長くなってしまいました。他にもいくつかあるので、また次に。


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