DXって、どうですか?
最近流行りの「DX」。まだまだ読めない方は多いですよね。
「デジタル・トランスフォーメーション」の略語が「DX」です。
トランスフォーメーションなのに、「X」が使われているところが、さらにややこしさを生み出している訳ですが、どうしてそうなったのか?気になる方はググっていただければ、と思います。ここでは割愛させてください。
さて、DXって声高に叫ばれてますが、それぞれの会社の中で取り入れられたり、導入が進められたりしてるのでしょうか?テレワークができるようになった、とかも立派なDXですよね。そうやって会社の業務がデジタルへシフトされているところって、実際どのくらいあるのでしょうか。
案外、なかったりするんじゃないでしょうか。
いやいや、実際はいろんな企業でデジタルシフトは取り組まれていたりするのかもしれません。でも、なかなか実感ないですよね。現にテレワークが進んできていると行っても、朝の通勤電車はまだまだ混んでますし、会社には紙の伝票処理や提出などするために、それこそ話題にもなりましたが押印するためだけに出社したりすることが多いのが現状だと思います。それでトランスフォームしてるのか?って問われると、ん〜ってなったりしますよね。
もちろん、デジタルシフトって一言で言ってもそんなに簡単なことじゃないことは十分理解しています。私自身、今はアパレル会社のMDをやっていますが、情報処理関連の資格を持ってますし、ほんのわずかでしたが、IT関連の会社でSEみたいなことをやっていたりしましたから、決して無知ではないです。
ではなぜデジタルトランスフォーメーションが進んでないのか。
それは、進んでないのではなく、現場の皆さんが実感する部分での改善がなされてないため、そういう風に感じてしまう、というのが実態だと思います。
特にアパレル業界においては、この辺りについてはかなり遅れをとっています。生活雑貨を扱っている会社も同様だと思います。先進的なシステムを取り入れているのは、良品計画さんやファーストリテイリングさん、古くはワールドさん、このくらいでしょうか。こうしたところは、しっかりとシステム開発に投資が行われ、多くの社員の生産性が向上しています。
でも、それ以外のところでは、仮に売上規模が数百億規模であったとしても、びっくりするような情報システムの中で業務をこなしている場合があったりします。どうしてそうなるんでしょうか?
それは、アパレル業界、雑貨業界特有のものですが、「薄利多売」のビジネスモデルであることと、「洋服が好き」「雑貨が好き」「接客が好き」「トレンドや流行り物が大好き」と言ったことだけで商売が進められるアナロジカルな業界風土が大きな要因だと思います。
日本の洋服や雑貨を売る会社の利益構造の実態は、かなり生産性の低いものになってます。作るのも、売るのも、まだまだ多くの「人」が間に介在しています。売るのはネット販売がだいぶ浸透してきたので、ここでの利益はかなり向上してきましたが、EC化率をみると10%前後の数字を持つブランドや企業が大半なので、残りの9割の売上を人が接客して売っている訳です。しかも売っているのは数千円のアパレル、数百円の雑貨です。これでは効率、生産性は上がらないですよね。
IT関連企業では、すでにプログラムはAIがコーディングを進めるようになり、またノーコードと呼ばれる、コーディングを伴わないアプリ開発が出現したりと、「人」を介さない開発がどんどん台頭してきています。一方でアパレル・雑貨業界では、「人」がデザインを起こし、「人」が雑貨の機能やアイディアを考え出し、「人」が布を切って縫製し、「人」が物を運び、「人」が売っている訳です。ここにデジタルを入れ込もうと考えていろいろ実験したりしてはいるんですが、いずれも実用化には程遠い、というのが現状です。
AIに次に売れる商品のデザインを起こせるか、というと現時点では到底無理な状況です。次に何が売れるか?という答えを出してもくれません。需要予測などは計算である程度できますが、この需要予測も「商品が同じ」ということが前提であって、アパレルや雑貨はそもそも同じ商品を売り続けることが少ないので、この需要予測は相当難しい訳です。例えばTシャツ1つとっても、素材は?ドライタッチ?USAコットン?その糸の番手(=太さ)は?色は?サイズはルーズ?ジャストフィット?・・・というように、要素がとても多く、その組み合わせだけを考えるととても予測できるものではない訳です。
では、アパレル業界や雑貨業界のデジタルシフトは、どう進めていったらいいのでしょうか?もちろん基幹系システムの改善やデータベースのアップデートなどは当然のこととして、それ以外のことでできることはないのでしょうか?
もちろんあります。
それこそ、冒頭でもお伝えしたような、押印文化をなくす、伝票処理をなくす、と言った旧来から続く仕事のあり方をデジタルに置き換えるだけでも相当な進歩になると思います。
事実、発注書は紙で管理を行い、そこに部長や商品責任者の押印を押すことで不正防止や業務管理を担っているからやりなさい、と監査法人から指摘されるわけで、そうしたことをデジタルを使った仕組みにするだけでも相当なデジタルシフト、トランスフォームになるわけです。
ただ、これは自分の会社だけの話だけであれば、コストをかけて改善すれば良いのですが、取引先がそうなっていなければなかなかうまく話が進まないこともあります。実際、雑貨業界はまだまだ古い商習慣が根付いており、懐かしいチェーンストア統一伝票があちこちで使われていたりします。なかなか難しいですよね、こうした文化を業界あげて変えていこう!と言っても無理な話です。
なので、この業界においてデジタルシフトを進めていく上で大切なポイントは、「人の動きをデジタルで快適にする」ということに尽きると思います。この業界の仕事は、将来AIが代わりにできるようなことが少ないわけです。であれば、その人がもっともっと快適に仕事が進められる「ツール」を数多く提供することが、とても大事になります。
多くの人が介在して成り立っている業界ですから、その多くの人たちが快適な業務遂行ができるための仕組みに多く関わることができたら、デジタルシフトが進んできたな、と思うようになるでしょう。
ん〜、だいぶ先になりそうですね〜
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