北村匡平

映画研究者/批評家|東京科学大学リベラルアーツ研究教育院准教授|映像文化論・メディア論…

北村匡平

映画研究者/批評家|東京科学大学リベラルアーツ研究教育院准教授|映像文化論・メディア論・表象文化論・歴史社会学|公園/遊具研究|著書に『椎名林檎論』『アクター・ジェンダー・イメージズ』『24フレームの映画学』『美と破壊の女優 京マチ子』『スター女優の文化社会学』など。

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  • 音楽レビュー

    好きな音楽や参加したライブについて気ままに書きます。

  • 研究・批評の方法

    資料調査・資料整理・分析や読書の方法など、研究や批評活動をするにあたって役立つようなアイデアをまとめていきます。

  • エッセイ

    日常のなかで起こる出来事、教育や研究に関して思うこと、子供や遊びついて感じることなどのエッセイを書いていきます。

  • 本の出版にむけて

    本は通常、出版社の企画会議を経て出版可能になります。ここではまだ企画書さえできていないものを、いずれ本にしていくための個人的な整理の空間。

  • 映画レビュー

    普段観た映画についてSNSで発言しなくなったので、ここでは基本的にオススメの作品について映画レビューを書いていきます。

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北村匡平/自己紹介

映画研究者/批評家として活動している北村匡平(きたむら きょうへい)といいます。現在は東京工業大学リベラルアーツ研究教育院に所属し、大学教員をやっています。以下、簡単なプロフィールです。 ProfileWorksこれまでに書いた主な本を紹介します。 【単著】『スター女優の文化社会学——戦後日本が欲望した聖女と魔女』 (作品社、2017年)2刷 【単著】『美と破壊の女優 京マチ子』 (筑摩書房、2019年)2刷 【単著】『24フレームの映画学——映像表現を解体する』 (

    • 藤井風アジアツアーライブレポ(クアラルンプール)

      マレーシア・クアラルンプールへ 藤井風のアジアツアーへ参加してきました。僕はマレーシアと韓国に参戦予定、今回はクアラルンプールのaxiata arenaで行われたライブについての簡単なレポを書きました。最初は地下鉄などを使って普通に行こうかと思ったのですが、マレーシアではGrabというアプリがとても便利で安いので重宝しています。呼んだら5分くらいでホテルに迎えにきて30分もかからずaxiata arenaに着いてしまいました。地道に行くと1時間以上かかるうえ、最寄駅まで徒歩

      • 大学院での研究室選び

        毎年、この時期になると修士課程・博士課程の入試前の面談がはじまり、毎日のようにいろいろな方と話をする。僕の所属するコースでは事前面談が必須なので、出願前に連絡してもらい、遠方の場合はオンラインで、近場の場合は希望すれば対面で面談しているところだ。学部生の立場からすると、研究室選びはどういう基準で選べばいいか、なかなか難しいのではないかと思い、簡単なアドバイスになればと思って、この記事を書いている。 僕は人文学の研究者なので、あくまで文系の研究室選びの一例として、何を基準に選

        • いま、映画はいかに観られているのか。

          「ヒッチコック5%問題」「『サイコ』3%問題」 東京大学で青山真治が映画の講義をした2005年、アルフレッド・ヒッチコックの『サイコ』を観たことがあるかと学生に問うたときに2割しかいなかった、いわゆる「『サイコ』20%問題」というものがある。これを受けて2022年に僕が勤めている東京工業大学大学院の授業でアンケートをとった。「ヒッチコック映画を観たことがある?」と質問したところ、「ある」は5%だった。ちなみに「ヒッチコックという名前を聞いたことがある?」という質問への回答は

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          空き地と土管

          昔よく裏山にある空き地で遊んで過ごした。実家は下関の小さな山のふもというか、丘の上にあり、家のすぐ裏に山が広がっていた。薮の中を抜けると急勾配のスペースがあって、誰が吊るしたかわからないロープが木にぶら下がっていた。僕たちはよくそこに集まってターザンロープをして遊んだ。斜面がかなり急で、公園にあるような生やさしいものではない。いったんロープを掴んで地面を蹴ると、怖いからといってやめられない。絶対に離してはならないと誓って死ぬ気でジャンプしなくてはならないのだ。 幸い僕は手を

          空き地と土管

          研究・批評のための読書の方法(2)

          前回の研究・批評のための読書の方法(1)で読書をするときに使うツールについて紹介しました。今回はその続きです。というか、以前書いた記事を公開し、Xでシェアしたときに反応して、教えていただいたので、それを購入して使ってみました。今日はその補足のような記事になります。まずサンスター文具のウカンムリクリップ。 サンスター文具の公式サイトにはウカンムリクリップの商品紹介と動画もあります。最近話題ということで購入して使って見ました。 見た目がかわいい。色のヴァリエーションも、ウォー

          研究・批評のための読書の方法(2)

          研究・批評のための執筆の方法

          今回は「書く」ときに使っているパソコン周辺のガジェットについて紹介したいと思います。自宅の書斎でも研究室でも基本的には同じような環境を構築しています。機会と身体の関係性は日々深まっていくので、違う環境にしてしまうと書きづらくなる。iMacとMac Studio+Studio Displayで使っているPCのモデルは少し違いますが、MacのPCにEIZOのディスプレイを接続して拡張し、二つのスクリーンを使って執筆を書く環境を整えています。2016年の博士課程のときから、もう7〜

          研究・批評のための執筆の方法

          あたしのからだ

          家の近くを歩いていると、突然知らないおじさんが通りすがりに頭を撫でてきた。その人は女の人とふたりで道を歩いてきて、すれ違うときに、あたしの頭にさわって、よしよし、と3回くらい撫で回して去っていった。いきなりのことでびっくりして立ち止まり、パパのほうを振り返った。お姉ちゃんも「え…」と驚いた様子で、その場に突っ立ってパパのほうを振り返った。後ろを歩いていたパパとお兄ちゃんはすぐに駆けてきて「大丈夫?」と聞いた。あたしは何が起きたのかよくわからず、呆然として何も言葉が出なかった。

          あたしのからだ

          熊谷博子『かづゑ的』(2024)

          3月2日から熊谷博子の新作ドキュメンタリー『かづゑ的』が公開される。以前、女性の映画作家について書いた共著『彼女たちのまなざし——日本映画の女性作家』を書く過程で、東京国際女性映画祭第15回の記念作品として作られた長編ドキュメンタリー『映画をつくる女性たち』(2004)、パイロットフィルムの短編ドキュメンタリー『日本初の女性映画監督 坂根田鶴子を追って』を視聴させてもらい、試写の案内まで送ってくれた。僕は1月31日にマスコミ試写で拝見した。『かづゑ的』は瀬戸内海にある国立ハン

          熊谷博子『かづゑ的』(2024)

          研究・批評のための文献管理の方法

          今回は前回予告したとおり、文献の管理の仕方について紹介していきたいと思います。といっても文献管理ソフトは何がいいとか、そういう話ではありません(ちなみに学生時代、使っていたのはEndNoteです)。主に文献をPDF化して管理する方法についてです。僕は「研究・批評のための資料整理の方法」で紹介したように、所有している映像データについては細かく管理していますが、もっている書籍まではエクセルに入力して整理していません。だから間違って同じ本を買うことは、ある。いままで3冊までは5回く

          研究・批評のための文献管理の方法

          エッセイ本を作りたい【出版企画】(書籍化決定、2024年12月刊行)

          文芸誌やウェブ媒体でエッセイを何度か書いたことがある。けれども、本格的に書いたのは、2023年1月から半年間つとめた『日本経済新聞』夕刊の「プロムナード」の連載だ。僕は土曜日の担当で毎週1400字程度の短い文章を書いた。他の連載もあってなかなか大変ではあったが、これが思いのほか楽しくて日々、次は何を書こうかなと世界に対する感度があがったように過ごした。研究とは違うアンテナで生活する日々を思い返すと、とても幸せな時間だったように感じる。久々に読み返してみたが、自分の人生がつまっ

          エッセイ本を作りたい【出版企画】(書籍化決定、2024年12月刊行)

          研究・批評のための読書の方法(1)

          今回は読書の方法について紹介したいと思います。いわゆる読書術とか読書論のような大層なものではなく、本を読む時に使っている道具についてです。おそらく色々なツールがあり、それぞれの用途にあわせて駆使しているのではないかと思います。研究や批評をするには大量の本を読まなくてはなりません。それも研究書や洋書は重いものがたくさんあるので、ずっと持ったままだと疲れます。ページをめくるのもダルくなる。だから腕に負荷をかけずに読みたい。あるいは、ノートにメモを取りながら本を読みたい。本を開いた

          研究・批評のための読書の方法(1)

          鵞樹丸『わらじ片っぽ』(1976)

          『週刊文春』の連載「黄金の日本映画」で映画紹介をやっている。ここでは毎回「雑誌の発売日の後に映画館で観られる往年の日本映画」という条件のもと作品を選定し、原稿を書くことになっている。たまに最近の作品も取り上げるが、基本的には昔の日本映画がほとんどだ。結構選ぶのが難しい。なぜかというと昔の映画をかける名画座はどんどん潰れていって、選択肢もかぎられているからだ。ここではあまり有名な映画は選べない。「傑作発見!」と謳っていることもあり、多くの人が観ているだろう名作を選んだときNGが

          鵞樹丸『わらじ片っぽ』(1976)

          映画批評本を作りたい【出版企画】

          映画本の企画 一般に僕たち研究者や批評家が作る本として、対談や講義本などは抜きにすれば、大きく書き下ろしかこれまで寄稿したものの論集がある。つまり一から書くか、書いたものを寄せ集めて本にするか、である。『美と破壊の女優 京マチ子』(筑摩書房)や『24フレームの映画学——映像表現を解体する』(晃洋書房)は(後者は発表済みの論考も少し収録したので「ほぼ」)書き下ろしの本なのに対して、『アクター・ジェンダー・イメージズ——転覆の身振り』(青土社)は『ユリイカ』に寄稿したものを集め

          映画批評本を作りたい【出版企画】

          研究・批評のための資料整理の方法

          研究を始めるためには、資料調査・収集・整理・分析がかかせません。僕は映像を研究しているので、ここでは映像に関する資料のアーカイブをどうやっているのかを紹介します。かつてはVHSやDVDを購入するか、テレビで放映された作品を録画してアーカイブするのが通常でしたが、いまは映像研究がとても楽になりました。動画配信サービスに入っておけば、いつでもアクセスして繰り返し見て確認できますし、場所をとりません。しかしながら動画配信サービスも多岐にわたり、いつでも目的の作品を観ることができるわ

          研究・批評のための資料整理の方法