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ピエール・モリニエ 異端としての愛

エロティックな画家といえばバルテュスや金子國義が有名であるが、さらに異端の芸術家としてピエール・モリニエがいる。

女性の肉体に取り憑かれた異常なまでのフェティシズム。
ハイヒール、ストッキング、コルセットへの執着。
狂気のシュルレアリスム。
彼は官能的な女装をした自身を撮影し、性的倒錯による幻想の世界を描いた。

その作品に多くの人は嫌悪感を抱き、目を背け、卑しさも感じることであろう。
しかし私は彼の異常な芸術に惹かれてしまう。
彼だけの耽美な世界。子供のように性を遊ぶ心。
それは純粋な本能の表現であり、それを恐れずにさらけ出す芸術家の姿に敬意すら抱く。

モリニエの描く女性は、青年時代に亡くした最愛の妹の姿であるとされる。
彼はそこに自分の姿も重ね、作品の中で妹と常に同化していた。
これを狂気と見るか愛と感じるかはそれぞれであろう。
彼は決して美しいストーリーを持った人間ではない。だが私はその物語も異端としての愛であると感じる。

「自分自身を表現すること、それが全てだ。善き他者であるよりも、悪しき自分自身であること。」

私はモリニエのこの言葉が昔から好きだ。
異端であることは芸術家にとってはむしろ王道であると思う。
ピエール・モリニエはそれをむき出しに表現している。

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