NFTマーケットプレイスの戦略分析~OpenSea後発のNFTマケプレ勝ち筋一覧~
OpenSea後発のNFTマケプレ勝ち筋一覧をまとめたツイートが好評だったので記事化しました。
はじめに
OpenSeaの月間売上は2021年1月には5000億円を突破。これは楽天市場を上回る数字であり、数年前はわずか300万円程度だったことを鑑みると驚異的な伸長です。
空前のNFTバブルを前に数多のNFTマーケットプレイスが誕生しました。
世界で累計1,000以上生まれたNFTマーケットプレイスですが、その殆どがOpenSeaの前に破れ去りました。OpenSeaの技術力やリソース、そして圧倒的なネットワーク効果に太刀打ちできず、殆どのプレイヤーは土俵にすら上がれなかったのが実情です。
しかしながら、OpenSeaに対して独自の地位を確立したり、上手く共存する、あるいは(一時的にとはいえ)真正面から打ち負かしたプレイヤーも現れました。
OpenSea後発ながら成功を収めたNFTマーケットプレイス群と、それぞれの戦略を見ていきます。
1. ランチェスター戦略で局所戦[Foudation型]
スタートアップの取るべき手本のようなランチェスター戦略です。 総合型・多機能型のOSに対して、機能やジャンルを限定します。
例えばリリース当初のFoundationは下記のような仕様となっていました。
扱うNFTのジャンル: 1of1のアートNFTのみ
流通NFT: FND内で作成されたNFTのみ
販売方式: オークションのみ
チェーン: ETHのみ
クリエイター: 審査制・招待制
開発工数も低く、浮いた開発リソースでUIを洗練させることができます。
PMF及びEXIT(売却)も短期間で達成しやすく、個人的に最もおすすめのアプローチです。
余談ですが、僕はFNDに20ETH課金して使い倒しました。
FNDのことならFND社員より詳しいまであります。
FNDについて詳しく知りたい方は下記ツイート群をどうぞ👇
2. プライベートチェーンで鎖国[NBATopShot型]
強力なIPの存在が前提にあるNFTマーケットプレイスです。
IP獲得に成功しているなら、最も有力な選択肢と言えるでしょう。
プライベートチェーンを採用する(=経済圏を閉じる)ことでOpenSeaと戦わなくて済みます。
パブリックチェーンの恩恵に預かることはできませんが、NBAや進撃の巨人のような強力なIPのファン層をそのまま取り込むことで、十二分に経済圏が成立します。
「リッチな3Dアニメーション」や「作り込まれたクレジットカード決済フロー」等、Web2側の開発コストが重いです。
いわば、ZOZOTOWNやAmazonの発送部分がなくなった代わりにUIを作り込むようなイメージです。
また、プライベートチェーンを作るのもそう簡単な話ではありません。
NBATopshot型はFlowというフレームワークを使って開発されることが多いですが、ブロックチェーンそのものを開発・運用するのはやはり至難の業ではありません。
僕なら、「日本プロ野球やポケモン、Fate等のモンスターコンテンツの獲得に成功しており、それらの親会社の潤沢な資本も入っている」ならこのアプローチで作ると思います。
3. Web2.5未満で国内マス層に限定[Adam型]
単なるデジタルアイテムをNFTと言い張る形です。
厳密には「デジタルアイテムとそれをNFT化する権利」を扱います。
Web3ユーザーを切り捨てて国内マス層を獲りに行くなら有力な選択肢です(ただし、引き換えとしてグローバルマーケットのWeb3ユーザーを取るのは完全に諦めることになります)。
開発工数は大規模なデジタルコンテンツのECサイトとほぼ変わりません。モダンなDLSiteのようなイメージです。
実は国内の法人様からは最も開発・導入のニーズが多いです。従って、FND型と並んでEXIT(売却)もしやすいです。
ところで、まるでGMOの「Web3の技術力が低い」かのような印象を与えてしまっているのならそれは大いなる誤解です。GMOのブロックチェーン技術は国内最高峰です。
おそらく、GMOの開発チームならOpenSeaの上位互換のような機能のNFTマーケットプレイスさえ作ることができると思います。 そのGMOが「今、日本国内でNFTマケプレを展開するならこれだ」と決断した背景に想像を巡らせましょう。日本を代表するナショナルクライアントには相応の十字架が課せられています。 浅い思慮でGMOを冷笑するクリプトユーザーを僕は好きになれません。
4. 二次流通に特化[Tofu型]
FND型とは別のランチェスター戦略です。
マーケットプレイス内でNFTをミント(作成)出来ない代わりに、二次流通に特化します。 だからこそ20以上のチェーンへの対応やレアリティ機能の充実等を実現しています。
二次流通に特化しているものの、実はOpenSeaより開発リスクは低いです。
というのも、OpenSeaはブロックチェーンそのものを監視して新規NFTをリアルタイムで反映していますが、Tofuは「申請されたNFTコレクション」及び「ユーザーのウォレット内にあるNFT」のみ反映しするからです。
NBATopShot型と同じように、Tofu型においてもNFTコレクションやIPへの営業工数が重要となります。
余談ですが、日本人発のNFTマーケットプレイスとしてDev/Biz共に最高峰の環境がTofuだと思います。
※「再現性が高い」というのは「事業戦略の筋が良いから成功させやすい」という意味です。「難なく真似して追いつける」という意味ではありません
5. OSという巨人の肩に乗る[GEM型]
主要NFTマーケットプレイスを補うユーティリティツールとして共存します。 例えばGEMならOpenSeaはじめ複数のNFTマーケットプレイスで同時にリスト(出品)したり、コレクション単位でのオファーが可能です。特に後者はNFTコレクションを株式やコインのように「面」として捉える画期的な機能です。NFT全体の流動性にも寄与する、素晴らしい発想です。
OpenSeaやLooksRare(後述)の成長に合わせて、自ずとGEMもグロースできます。
スマートコントラクトへの高い理解・技術力が必要なため、今回紹介した中で1-2番目に開発難易度が高いかもしれません。しかし逆に言うとGEM型であれば技術力と柔軟な発想力さえあれば、Web2的な営業やマーケティングが必要ありません。
ある意味最もWeb3的な戦略であり、スタートアップとして最もやりがいがあるかもしれません。グローバルマーケットで戦い得るのもGEM型の特徴と言えるでしょう。 僕ならFND型等を売却して、十分な経験や技術力が身に付いた後に挑戦します。
6. Token-economics導入等Web3新基軸でOSを猛襲[LooksRare型]
LooksRareはToken-economicsを導入しているのが最大の特徴です。
LR上で売買するとトークン(仮想通貨)を受け取れます。
2022年1月にリリースされると、OpenSeaの月間GMVを大差で抜き去りました。 OpenSeaのコア・ユーザーをターゲットとした画期的なグロースハック施策、いわゆるヴァンパイア・アタックも大成功を収めました。
他の事例と異なり、LooksRareはOpenSeaを真正面から打ち破った唯一の事例です。 これは信じられないような偉業であり、当時の興奮は鮮明に覚えています。 すぐにOpenSeaに抜き返されてしまうものの、LooksRareはOpenSeaに次ぐ存在感を確立しています。
与えた影響は大きく、例えばLooksRareをきっかけとして「OpenSeaで購入する前に他のNFTマーケットプレイスを見てみる」という行動変容が一般的になったように感じます(一部の特にリテラシーが高いWeb3ユーザーからしたら以前から当たり前の行動ですが)。
開発工数は最も重いです。 「OpenSea型の総合型のNFTマーケットプレイス」と「DeFiプロトコル」を同時に開発するようなものです。 特にトークン設計の難易度が極めて高いです(余談ですが、世界で最も好報酬のWeb3人材がトークンデザイナーです)。
作って終わりではなく、戦略・戦術も繊細な運用が求められます。
ハードルは数知れませんが、グローバルマーケットの覇権を獲るポテンシャルがあります。
僕なら数億円規模の予算と、開発/マーケティング/リサーチャー等で強力なチームを編成できたなら挑戦します。
お知らせ
Web3の開発/PMの相談はお気軽にどうぞ🙆
こんなことできます👇
Web3プロジェクトの企画-開発-運用まで一気通貫で伴走
Web3開発の内製化支援/研修実施
Web3開発チームをゼロから採用・組成
NFTマーケットプレイス開発
ミンティングサイト開発
ジェネラティブNFTの企画・開発
NFTの配布を活用したプロモーション企画の実施
Web3リサーチ
お問い合わせはTwitterまで
反響のご紹介
お褒め頂いて嬉しかったので掲載します。
アーニャ引用RTしてくれる人大好き