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この差は何故に?

 やはり、3令化しませんね……。というのは、画像の左手の2令個体です(おそらく♂)。培地はオリジナルの無加水アスペン・チップ、まあ、食べてはいるのですが、その量が圧倒的に少ないです。一方、右手の個体は3令♂で、無加水パルプ。何れも空気穴無し蓋のDAISOボトルです。
 さて、この差は何故にということなのですが、2令個体は、最初に投入した一年もの熟成菌糸瓶が劣化したのですよね。それで、急遽移し替えたという経緯です。

幼若ホルモンが怪しい

 原因として考えられるのは、餌材環境ストレスを受けると成長ホルモン分泌に影響があるのではないかという疑念です。具体的には、それは幼若ホルモンということになるかと思うのですが、分泌量が極端に制限されるために成長が抑制されるのではないかと考えています。Lab研究レベルで、大きく育つ幼虫、大顎が大きくなる♂に共通していると言われているのは、幼若ホルモン分泌量が多いということらしいので、その正反対の影響だと思われるのです。また、3令個体の方ですが、体色が未だ黄色化していません。これにも幼若ホルモンが影響しているとわたしは考えています。

餌環境ストレス

 何れにせよ、これはオオクワガタ飼育に於けるわたしの造語ですが「餌環境ストレス」に幼虫は大変敏感だということです。餌環境ストレスの最も影響力の高いファクターがC/N比。次に水分量です。この二つが幼虫にとって好まざる状態に陥ると拒食症状を起こします。言うまでもなく「酸欠」はまったく関係ありません。
 様々な条件変化による実験の結果、現在、わたしがオオクワガタにとって好ましいと考えているのが:

  • 高C/N比

  • 低水分量

……の組み合わせ餌環境です。
 これは、正確な値を示すことができませんので、相対的な比較対象として極一般的な市販菌床・菌糸瓶を基準としての比較と考えていただいて良いかと思います。また、これは良好な天然腐朽材中の環境にも近い状態と言えるかと思います。
 結果、現在、このような環境に調節した餌材飼育下に於いて極めて良好な結果を得られていることから、更なる最適解を求めてBrush-upを極めたいと思っています。

「黄色化を遅らせること=臨海サイズを伸ばすこと=大型成虫」

……ということなのだと仮定すると、食事量が一向に増えずに3令化しない2令幼虫の事例から察するに、とにかく、幼虫に餌環境ストレスを感じさせないことに尽きるのではないかとわたしは考えています。幼虫の受容体反応はかなり鋭いのではないかということです。おそらく、これは正解だと思います。ですので、菌糸瓶の仕上がり状態や維持管理は勿論のこと、ボトル交換時の前後の状態差など、できるだけ環境変化無くベストの状態を維持し続けること。これが最も大事だという考え方です。
 幼虫の見た目で判別できる指標は黄色化なわけですが、それが確認できた時には時既に遅いわけで意味がありません。飼育者としてはそれよりも先回りで判断できる材料を得ていないといけないのですが、どうも具体的に観察から窺える指標になりそうなものはありません。ただ、体色がまだ黄色くなっていない白い状態、これが3令加齢後も長期間続いていること。これしか今のところ見当たらないのです、残念ながら。あとは、よく食餌しているということくらいでしょうか。
 ちなみに、わたしは所謂「居食い」は大型化には何ら寄与しないと考えています。よく動き回る個体でも大きくはなります。問題は、それが食餌のための行動なのか、何かの異常によるものなのかという、その内容の問題です。要は、飼育者者の観察眼の鋭さと考察、洞察力の深さ。定説バイアスによる思い込みが最も厄介です。

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