成長曲線について
2023 Lineageの2年化♂、2024 Lineage個体群と同じオリジナル・アスペン菌糸瓶に投入してあるのですが、2024の方は3令化しているとは言え、一眼見て明らかに若くて体重も乗っておらず、発育が未だ太さに表れていない段階です。一方、2年化♂はある程度の体重の乗った成熟個体です。
さて、この2頭の菌糸瓶の食餌量を比べると、どちらが多いと思われますが? 答えは、圧倒的に2024の若い育ち盛りの方なのです。これからも判るように、体を作るための食餌と生命維持のためのエネルギー補給のための食餌とでは違うということです。
成長曲線の上昇勾配の謎
上の2023 Linageの2年化♂で判るのは、臨界サイズ決定のメカニズムによって、食餌量も、必要とされる栄養素にも違いがあるということは、ほぼ間違いないと思うのですよね。あとは、その時期の特定にわたしのフォーカスは絞られてきていて、目下、観察を続けているところなのですが、今年の個体群では、もう一つ気づいた点があります。それは、押し並べて成長スピードが遅いということです。いや、言い換えますと、成長曲線が緩やかということです。それには根本的な条件の違いがありまして、孵化時期が例年よりも1ヶ月以上遅く、スタート時点から遅れをとっているで当然と言えば当然なのですが、その後のスピードの話なんですよね。例年、もっと早期に肥えているんですよね。つまり、ピークへの右肩上がりカーブの傾斜が急角。ところが、今年の幼虫たちは未だ体色に透明感があって、若いのです。小さいのですが、成長が止まって小さいのではなくて、未だ伸び切っていないので小さい。この成長のスピード感の違いは何の違いからなのだろうか? と。
具体的には、餌材か、管理温度か、という話になろうかと思うんですが、オリジナルのアスペン菌糸瓶の使用は、無加水培地については今回が初ですが、菌糸瓶としての使用自体は以前から使用していますので、直接的な影響は無いと考えます。管理温度も、いつもの常温部屋で特に大きな変化はないので、これも考えられません。うーん……他に何がある? ……一つだけ思い当たるとすれば、初令管理ですかね。2令に加齢するまで共生酵母培養液を染み込ませた産卵材の使い回し粉砕材で育てました。これくらいですね。がしかし、これも成長スピードが鈍化する直接原因とは考え難い。
以前の投稿で「早生か晩生か」というようなコラムを書きましたが、1年化、2年化があるように、明らかにそれらへの分岐点となる時期がある筈なんですよね。そして、その分岐となる切っ掛けも必要な筈なのです。それがランダムに発生するとは考えられません。
ブリードなのに2令越冬化の謎
そして、今年も1頭、まだ3令に加齢していない個体が1頭居るのですよ。
こいつが一番成長カーブ勾配が緩い。というか、2令加齢後に一向に成長スピードが上がっていないのです。この個体は、1年もの熟成菌糸瓶に投入していたのですが、劣化した状態で瀕死の状態だったのをリカバリーしてオリジナル無加水アスペン菌糸瓶に移動させた個体です。以前に、ブリード個体なのに2令越冬で2年化して当家の最小レコードになった個体が居ましたが(今もとても元気にしています)、なんだか同じパターンな感じが濃いのですよ。
劣化菌糸食餌によって共生酵母をロストして栄養吸収が悪くなっているのか? ——その場合、共生酵母を与えることで復活する筈(未投与)なので、判明すると思うのですが、ホルモン分泌の異常などの場合は同様の結果になるのかもしれません。何れにせよ、これも臨界サイズ決定のメカニズムが作用しているのは間違いないので、良い観察対象検体かとは思います。
食餌量に比例する
観察をしていますと、この成長スピードの差は、当然ながら食事量と関係しており、食痕を確認すると、成長スピードの遅い個体はやはり食痕が少ないのです。食痕の多い個体、つまり、食餌量の多い個体はそれなりに大きく育っています。
では、何故に食事量に差が生じるのか? 使用している餌材は同じでもこのような個体差は生じるんですよね。それらの個体の何が影響してそのような食餌量に差がでるのでしょうか。消化器官に問題があるのか? 共生酵母などの強制微生物フローラの問題? ホルモン障害? まだまだ謎は多いのです。
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