理想の自己紹介

1 はじめに
 新しい環境に飛び込んだとき、最初に発生することといえばなにか。
 そう、自己紹介である。
 自己紹介は、新しい環境において自分が自由にしゃべることのできる最初のターンであり、同時に、その後の生活を左右しうるきわめて重要な舵取りである。
 自己紹介で失敗してしまうと、その後その環境において過ごしにくいことこの上ない。
 そこで、私の経験を踏まえ、自己紹介を成功させるポイントを紹介するとともに、最後に、私が理想だと考える自己紹介を実際に書いてみた。
 自己紹介を成功させ、最高のスタートを決めよう。


2 自己紹介のポイント
 自己紹介を成功させる8つのポイントを紹介する。

①しっかりと聞き取れる声であいさつ
 なんといってもまず、聞き取れる声であいさつをすべきだろう。
 ハキハキとしたしゃべり方は人に良い印象を与える。
 小さい声で「ちわっす」などと、弱小部活の後輩のようなあいさつをしてはいけない。
 大音量である必要はないが、しっかりと後ろの人まで聞こえるような音量であいさつをすべきである。

②名前ネタを入れる
 自己紹介で名前ネタを入れることは鉄板である。
 たとえば、自分の名前に難しい漢字が入っていたら、「〇という漢字は難しいのですが、今日はこれだけでも覚えて帰ってください」などと言うのである。
 ほかによく見かける例として、「『小鳥が遊ぶ』と書いて『小鳥遊(たかなし)』と読みます」というようなものがある。
 このような名前ネタが入れられれば、聞き手の印象にも残りやすい。
 名前ネタを入れることにはぜひ挑戦しよう。
 ただし、この後自己紹介で話さなければならないことはまだまだあるので、あまり長い時間をとってはいけない。
 あくまでもさらっとジャブを打つ程度にとどめておこう。

③呼び方について触れる
 学校などで自己紹介をする場合には、自分のことをなんと呼んでほしいかということについて話しておくとよい。
 これにより、みんなからの呼び方を統一することができる上、印象にも残りやすい。

④疑問をもたせる
 自己紹介の際、疑問を持ってもらうことは有益である。
 たとえば、会社の法務部での自己紹介を考えてみよう。
 このとき、「大学時代は法律にはまったく触れておらず、経営のことばかり勉強していました。」などと言うのである。
 こうすることで聞き手に、「どうして法務部にきたのだろう?」という疑問をもってもらうことができる。
 そこでしゃべりすぎないことが重要で、あえて理由を説明しないでおく。
 そうすると、自己紹介を終えた後、その疑問をもった人が質問をしてくれ、話が盛り上がるということもあるだろう。
 あえて多くを語らないという選択肢もあることを覚えておこう。

⑤趣味で周りに差をつける
 趣味の紹介は、自己紹介の中で、自分に興味をもってもらう最大のチャンスである。
 趣味が共通な人が現れるのはやはり嬉しいものである。
 そこで、趣味として、無難なものを1つ入れておくべきである。
 たとえば、スポーツ観戦、音楽鑑賞、お酒を飲むことなどを入れておくことで、多段ヒットを狙うことができる。
 そのような無難なものに加え、マイナーな趣味を入れておくのは効果的である。
 たとえば、古墳、サメ映画などである。
 自己紹介で話す趣味は、無難なものとマイナーなものをひとつずつ挙げるというルールを徹底するとよい。

⑥自分と交流することのメリットを簡潔に提示
 会社の自己紹介等においては、自分と交流することのメリットを提示することで、ほかの人に話しかけてもらいやすくなる。
 たとえば、「○○の分野には詳しいので、お困りの際はぜひお声がけください」といった具合である。
 そのようなメリットの提示は、自分のことを覚えてもらえることに加え、仕事の付き合いの幅を広げることにもつながる。

⑦「間」をつくる
 ずっと勢いよく話し続けると、やかましく感じてしまう人もいるかもしれない。
 そこで、「間」をつくるということをおすすめする。
 「間」をつくることで、話をやかましくしない、つまり話のリズムを作るということができる。
 また、聞き手が「へえ~」などと反応した場合には、そこで「間」をつくることで余韻を残すことができる。
 その場の雰囲気にもよるので難しいが、「間」をつくることができるようになったら、いよいよ自己紹介は理想の形へと近付いていく。

⑧ミステリアスな印象を与える
 あまり自己開示をしすぎても面白くない。
 お互いを知りすぎてしまった夫婦が互いの人となりに興味を失っていくように、自分の底まで開示してしまうのは、興味をもってもらう観点からあまり得策ではない。
 難しいかもしれないが、少し謎めいた部分を感じさせることができると、自己紹介の達人になれる。
 これについては、下記の自己紹介例を参考にしてほしい。


3 理想の自己紹介例
 さて、ここまで8つの自己紹介のテクニックを紹介した。
 これらすべてを1回の自己紹介に盛り込むことは難しいが、3つか4つ取り入れることができれば、聞き手の印象に残る良い自己紹介となるだろう。
 最後に、上記8つのテクニックをすべて盛り込んだ理想の自己紹介を記載しておく。
 ぜひ参考にしてほしい。


~自己紹介 新入社員「渡辺二郎」さんを例として~

 初めまして、こんにちは!(①元気な声であいさつ)

 「たかなしいちろう」と申します。(嘘をつく)

 「小鳥が遊ぶ」と書いて「たかなし」と読みます。(②嘘をついてでも名前ネタを入れる)

 本名は渡辺二郎といいます。(ずっと「たかなし」だと思われるのも厄介なのですぐにネタばらしをする、なおここでも嘘をついてOK)

 学生時代はみんなから「ナベちゃん」と呼ばれていました!(③呼び方について触れる、親近感をもってもらう)

 でも、「プチョヘンザ」と呼んでください。(④疑問を抱かせ、聴衆の興味をひく)

 ハムと電気窃盗が好きです。(⑤趣味で周りに差をつける、無難なものとマイナーなものをひとつずつ)

 みんなを、幸せにする。(⑥自分と交流することのメリットを簡潔に提示)

 ~歯を見せて8秒間待つ~(⑦「間」をつくる、明るい印象を与える)

 …クリオネの夢です。(⑧ミステリアスな印象を与える)

 よろしくお願いします!!(そのまま外に飛び出して帰る)

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