足立の花火大会2024
友人たちと3人で足立の花火大会へ行った。
朝10時に場所取りをしていた。
花火大会が始まる少し前にそこへ到着し、乾杯も済ませいよいよ気分が盛り上がってきたとき、雷雨の見込のため花火大会を中止するとのアナウンスが流れた。
会場から落胆の声があがったあと、ある者はすぐに立ち上がり、ある者は手に持った酒を一気に飲み干し、またある者たちは顔を見合わせてこのあとの意思を確認していた。
人波に流され、牛歩よりさらに遅い蝸牛歩とでもいうべき速度で駅へ向かった。
綺麗な浴衣を着た若者たちはどこか窮屈そうで、さっきまで発条のように跳ねていた下駄は、からからとそこだけ乾いた音を立てていた。
露店の男たちが売るフランクフルトは、輝きを失ったように見えた。
雷雨に見舞われ、花火への想いなどとうに洗い流されていた私は、駅に着いたことに対してカタルシスを感じ、その場に勢いよく傘を捨て、ショーシャンクの空を見上げた。
帰り道を失った人々がたむろするコンビニでアイスを買い、見知らぬ施設の軒下で小さく食べた。
酷暑、中止、ずぶ濡れ、混雑…
さまざまなものに対する百通りの感情が大輪の花を咲かせ、私の心を鮮やかに彩った。
花火大会は、ここにあった。