令和の人間失格1~たべっ子どうぶつ~

恥の多い生涯を送って来ました。

たべっ子どうぶつというお菓子があります。
動物の形をしたビスケットに、その動物を意味する英単語が記載されているというお菓子で、日本における英会話教育の先駆けです。
パッケージにはなんともゆるい動物たちのキャラクターが描かれており、これもまた好評の理由です。
こうして書いていて、「たべっ子」の「子」の部分だけ漢字のため、変換がしづらい、そこすらも愛おしい食べ物です。

先日、研修の昼休みにコンビニでたべっ子どうぶつを買いました。
そして、お昼ごはんのあとに食べようと机の上に置いていました。
すると、同じ班の研修生たちが
「たべっ子どうぶつだ!」
などと反応してくれ、嬉しい気持ちになりました。
やはり、たべっ子どうぶつは、見るとコメントしたくなる不思議な魅力があります。
それからしばらく同じ班のメンバー達と、たべっ子どうぶつの英語の難しさや、キャラクターの動物のかわいらしさについて話していました。
本当は昼休みに食べようと思っていましたが、時間がなくなってきたため、私はたべっ子どうぶつをリュックに忍ばせました。
その後もしばらく班のメンバー達とたべっ子どうぶつの話をしていました。
すると、あまり話したことのない研修生が、たべっ子どうぶつの話を聞きつけてわれわれの会話に入ってきました。
そして、こう言い放ったのです。

「たべっ子どうぶつ懐かしいな~!小さい頃よく食べたな~、今でも売ってるのかな?」

そのとき、私はなぜか恥ずかしくなって、自分が先刻たべっ子どうぶつを買ったことを言えませんでした。
会話に入ってきた研修生は、別に大人になってたべっ子どうぶつを購入する人間をからかうつもりで言ったわけではありません。
たべっ子どうぶつが売っているかどうかという純粋な疑問をつぶやいたにすぎません。
それでも、なんとなく言い出しづらくて、私はリュックの中のたべっ子どうぶつをリュックの上からそっと撫でました。
班のメンバーたちもなんとなく私がたべっ子どうぶつを買ったことを言わずにいたので、その話はそこで終わりました。

帰宅して、リュックを開けると、たべっ子どうぶつが入っていました。
研修生の話を思い出し、また少し恥ずかしくなりました。
小腹がすいたな…
私は、たべっ子どうぶつを水も飲まずに一気に食べました。

移動中の揺れや荷物による圧迫のためでしょうか、どうぶつたちは、少し、欠けていました。

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