令和の人間失格2~自己紹介~

恥の多い生涯を送って来ました。

現在、私は「研修生」という、何の仕事をしているのか人に説明しづらい立場にあります。
研修期間中、いろんな職場に配属され、そのたびに自己紹介というものをします。
今回も新しい職場に私ともうひとりの研修生が配属され、自己紹介をするよう言われました。
最初に、私が話すことになりました。
こういう場は何度経験しても慣れません。
私は、緊張して斜め下を見ながら、こう述べました。

「今日からお世話になる○○と申します。短い間ですが、皆様に迷惑をかけないよう精一杯がんばります。よろしくお願いいたします。」

次に、もうひとりの研修生が自己紹介をしました。

「同じく、今日からお世話になる○○と申します。皆様にご迷惑をおかけすることも多々あると思いますが、どうぞよろしくお願いします。」

私は、それを聞いて自分の発言が急に恥ずかしくなりました。
新しい職場で、迷惑をかけないわけがないのです。
そもそも研修生が配属されて、仕事の説明をしたり様々な手続をすることがすでに迷惑になっているはずです。
研修生は「迷惑」そのものです。
それは分かっていたのです。
しかし、緊張のあまり、「迷惑をかけないよう精一杯がんばります」などと、いかにも私は迷惑をかけないことができるかのように言ってしまったことを後悔しました。

自己紹介で失敗してしまうと、その信頼を回復するには時間がかかります。
私は、デスクに小さく座り、ぬるくなったペットボトルの水を飲みました。

皆様にご迷惑をおかけすることも多々あると思いますが、どうぞよろしくお願いします。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集