共同親権の問題について正しく知ってもらいたい弁護士の会

私たちは、離婚・DV・虐待などの家事事件を取り扱っている弁護士です。共同親権をめぐる諸問題について、現場からかけ離れた議論がなされていることを危惧しています。子どもの安心安全を守りたい。 kyodoshinken.shinpai.bengoshi@gmail.com

共同親権の問題について正しく知ってもらいたい弁護士の会

私たちは、離婚・DV・虐待などの家事事件を取り扱っている弁護士です。共同親権をめぐる諸問題について、現場からかけ離れた議論がなされていることを危惧しています。子どもの安心安全を守りたい。 kyodoshinken.shinpai.bengoshi@gmail.com

最近の記事

国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)へのレポート提出と、ミーティングにおけるスピーチ全文

DV・虐待を許さない弁護士と当事者の会、Kids Voice Japan 及び Safe Parents Japanは、国連の女性差別撤廃委員会が行う8年ぶりの日本審査にあたり、共同親権と面会に関する問題を指摘する2通のレポートを提出し、その内容を委員に周知するためにジュネーブ入りしてロビイングを行いました。 また10日14日に行われた、委員会委員とNGOとのミーティングにおいてスピーチを行いました。 https://webtv.un.org/en/asset/k1s/k

    • チラシ「知ってほしいねん!共同親権」

       問題が山積みの共同親権。2026年に私たちの不安は解消されるでしょうか。面会交流原則実施論のような事態をさけるためにも、問題点を周知し、安全な運用になるように目指さねばなりません。  このたび、チラシを作成してくださった方から、ご厚意でデータの提供を受けました。ご自由にプリントしてご活用下さい!

      • 第5話 ああ!民法に!民法に!ある地下鉄駅の遺失物係に届けられた日記帳より

        「共同親権ホラー」は、共同親権の導入を心配する弁護士たちが創作したホラー短編です。  かなりの心労に押しつぶされそうになりながら、これを書いている。あと数時間後にはもう、私は意識を失っているだろう。寝るからだ。私の人生の苦痛に最も慈悲を恵んでくれるはずの民法の改正にも見放された。強制してもらえるはずが、合意して選択した場合だけなんて。これ以上、苦しみには耐えられない。この台所のドアから、うす暗い廊下を通り、身を投げることにしよう。ベッドに。一体全体何故、普段よりも30分も早

        • 特別編 人生変わる夏だった

          「共同親権ホラー」は、共同親権の導入を心配する弁護士たちが創作したホラー短編です。 作:二本松海奈  聴いたこともない、寂しい怒りの旋律だった。  カフェ「白猫」の店長が出勤すると、店内からピアノの旋律が聴こえた。ドアの隙間からそっと覗くと、まだ少年の面影を残した横顔が見えた。 「あっ、店長すみません。ピアノがあったから、つい」 思わず店長が拍手をしたので、指を止めた演奏者は立ち上がって蓋を閉めた。 「いいのよ、興味深い演奏だったわ。今の曲はシューマンの曲ね」 「はい、ト

          第4話 顔色をうかがうのが尊重ですか? 

          「共同親権ホラー」は、共同親権の導入を心配する弁護士たちが創作したホラー短編です。  娘を寝かしつけていたはずなのに、うっかり自分も寝てしまっていたみたいだ。不意にドアのあく音がして、「ひろみちゃん、ちょっといいかな」と夫が呼ぶ声で目が覚めた。いつ帰ってきたのだろう。不機嫌そうな冷たい声だ。  「正広さん、おかえりなさい。一緒に寝ちゃってたみたい。」  「ねぇ、この部屋の状況、どういうつもりかな。まず、洗濯物。たたんだまま床に置いてあるけど。」  「あ、それは、たたんでたら

          第4話 顔色をうかがうのが尊重ですか? 

          第3話 で、証拠はあるんですか?

          「共同親権ホラー」は、共同親権の導入を心配する弁護士たちが創作したホラー短編です。   「まただ・・・。」  午前5時、寝室からリビングに来てすぐ、沙耶はそう呟いた。  薄暗く、カーテンの隙間からほんのりと明かりが差し込むリビングのテーブルには、昨夜、帰りが遅い夫の義明のために沙耶が用意した夜食がそのまま残されていた。そして、その隣にはカップラーメンのカラとひしゃげた空の缶ビール。  小さなため息と共に、沙耶はテーブルの上に残された夜食を三角コーナーへ静かに投げ入れた。

          第2話 乗れなかった遠足バス

          「共同親権ホラー」は、共同親権の導入を心配する弁護士たちが創作したホラー短編です。  元夫は高学歴の粘着質なDV夫だった。耐えかねて離婚を申し出ると、元夫は共同親権にするならすぐにでも離婚に応じる、と言ってきた。引っ越すなら娘の莉緒の小学校入学前が良かったし、入学後に莉緒の苗字を変えるのもためらわれた。それで早く離婚することを最優先させてしまい、共同親権にすることに応じて離婚した。  離婚して2か月。引っ越して元夫のいない新しい環境で、莉緒と楽しく暮らせると思っていた。だ

          第1話 板挟みの場所

           「共同親権ホラー」は、共同親権の導入を心配する弁護士たちが創作したホラー短編です。  8月。夏休みの良く晴れた日。光司は小学校に入って初めての夏休みを迎えていた。太陽の強すぎる光が光司の住む家の庭にも降り注ぎ、庭の中央に干された光司の敷布団を白く輝かせている。  その敷布団の中央には大きく濡れた後。  光司は昨夜、おねしょをしてしまったのだった。年少のときにおむつが外れて以来のことだった。わざとらしく道に向けて干されているおねしょ布団を横目で見ながら、光司は庭に面したリビ

          離婚後共同親権の導入を定める民法改正案の参議院法務委員会可決についての声明

          2024年5月16日 ちょっと待って共同親権プロジェクト 離婚後共同親権から子どもを守る実行委員会 共同親権について正しく知ってもらいたい弁護士の会  本日5月16日、離婚後共同親権の導入をはじめとする民法改正案が参議院法務委員会で可決され明日にも成立の見込みとなった。審議入り以降、質疑と答弁が重ねられるにつれ法案の不備な点、曖昧な点が多数明らかになり、DV・虐待当事者、支援者、弁護士などが不安と恐怖に抗いながら声を上げ続けたこと急速に注目が高まりさらに懸念の声が強まって

          離婚後共同親権の導入を定める民法改正案の参議院法務委員会可決についての声明

          岡村晴美 2024年4月3日衆議院法務委員会(民法改正の参考人聴取)ー脚注あり版

           共同親権の問題について正しく知ってもらいたい弁護士の会より、衆議院法務委員会にて参考人となった際の配付資料です。  なお、参考人聴取の書き起こしは、こちらから(七緒さん、ありがとうございます。) https://note.com/nao302198765/n/n507aeef4f576 家族法改正に関する懸念ー家事事件の現場から  名古屋で弁護士をしております岡村晴美と申します。弁護士になって17年目になります。取扱分野は、DV・性虐待・ストーカーの事件が8割、残りの2

          岡村晴美 2024年4月3日衆議院法務委員会(民法改正の参考人聴取)ー脚注あり版

          共同親権への改正案は問題山積みー参議院で議論すべきこと

          スライドはこちら 非合意強制型共同親権問題 -立法事実はあるのか。合意をすることすら合意できない父母に、親権の共同行使を義務づけて子どものためになる場合があるのかという問題。法改正の根幹に関わるにもかかわらず、衆議院でも明確にならなかった。「監護親(同居親)の養育に対して不安がある時」に、非合意の非監護親(別居親)と親権の共同行使が義務づけられることが子どものためになる場合が全く想定できない。現行法のもとで、親権と監護の分属が認められているが、非合意の場合に強制されることは

          共同親権への改正案は問題山積みー参議院で議論すべきこと

          現時点での離婚後共同親権の導入には反対ですー誰1人犠牲者を出さないために

           子どもの福祉を考えるからこそ,共同親責任を認める諸外国制度の経験(別居親による監護中に子が殺害されたり,引っ越しも自由にできず監視されているような状況,行ったり来たりすることで負担が大きい,監護親への日常の監護への介入,攻撃が続き,安定的監護に悪影響がある,監護を担っているからと養育費はさらに減らされる等)を先例として,「共同親権」の負の側面,特に子どもの心身の安全・安心と適時適切に必要な事項を決めてそのニーズを満たすことへの支障が出るリスク(監護親の安心と安全を含む)を踏

          現時点での離婚後共同親権の導入には反対ですー誰1人犠牲者を出さないために

          3/9(土) 札幌弁護士会「離婚後共同親権の問題点を徹底検証 拙速な導入に反対するシンポジウム」基調講演書き起こし

          こちらのシンポの基調講演の書き起こし 資料は、こちらからダウンロードできます。 https://drive.google.com/drive/folders/1TSo2odIfnny2FTFUpwQX9vxB2aaWG7rU  名古屋で弁護士をしております岡村晴美です。司法修習は59期で、17年目の弁護士です。取り扱い分野は、DV・性虐待・ストーカーの事件が8割です。残りの2割は弁護団事件で、職場のパワハラやセクハラ・学校のいじめの事件を担当してきました。これらの事件は、

          3/9(土) 札幌弁護士会「離婚後共同親権の問題点を徹底検証 拙速な導入に反対するシンポジウム」基調講演書き起こし

          法務省の要綱案の致命的な欠陥について

          現在、公表されている要綱案はこちらから https://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900001_00233.html 1 子連れ別居に当たって、DVの証明が必要とされるのみならず、急迫性の証明も必要となること  共同親権に関する規定が、離婚後のみならず、婚姻中の共同親権にも同じように適用される結果、無視されたり、否定されたりする精神的DVや、不機嫌にされることによる性的DVなど、証明が困難なタイプのDVや、夫婦げんかが子どもに対する面前暴力

          共同親権制度に対する深刻な懸念の声を届けても真摯な対応はなく、皆、失望しています。

           共同親権等にならなくても、親であれば、離婚後も、共同で養育をしたら良いのです。共同養育ができるように、婚姻中からきちんと、子の育児にかかわり、子のことであれば夫婦で話し合える最低限の関係性を築けていれば、現行法でも何ら共同養育をすることに問題はないはずです。現に、選択的夫婦別氏制度が進まず事実婚を続けている夫婦・家族は、単独親権ですが、そこには何らの問題もなく、通常の共同養育が行われています。そうした事実をしっかりと認識してください。要は、名前や制度ではなく、本当の意味での

          共同親権制度に対する深刻な懸念の声を届けても真摯な対応はなく、皆、失望しています。

          法務省申入れ「実態を無視して、拙速に共同親権導入を進めないでください。」

           本日付(2024年1月24日付)で、法務省に対して、標記の申入れをいたしましたので、ご報告申し上げます。  私たちは、法制審議会において、共同親権の導入について、実態を無視した議論がなされ、拙速ともいうべきスピードで押し進められようとしていることを強く危惧しています。昨年の8月には、以下の4点を要望する申し入れを行うとともに、現場からの懸念の声をお伝えし、賛同者は375名にのぼりました。  1 合意型共同親権においても、DV・虐待・父母の葛藤が激しいケースが紛れ込む危険が

          法務省申入れ「実態を無視して、拙速に共同親権導入を進めないでください。」