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広報ネタ:あの会見は成功だったのか?

著名な海外企業の会見が話題になった

先日、大きな注目を集めている海外企業の記者会見が話題になった。数多くのメディアで取り上げられ、高品質でユニークな同社の製品の記事は、私のfacebookのタイムラインにも何度も登場した。googleでニュース検索をしても多数の記事が引っかかるし、会見当日のNHKのニュースでも取り上げられていた。

数字で見たら大成功?

掲載記事の数やそのクオリティなどを参照してスコアリングを行うと(注:海外のPRの業界では、掲載記事の件数ではなく、掲載媒体の属性、読者層、発行部数やPV、記事の文脈などの様々な情報を数値化してそれを分析し、目標値との差異を見るのが一般的である。余談だが日本の大企業では、掲載記事と同じスペースの広告を出した時にその費用がいくらだったかを算出する、いわゆる「広告換算」という手法が伝統的に採用されていることが多いと聞く)、その企業の先進性、びっくりするような低価格、炊飯器といったユニークなプロダクトへの言及も多く、概ね成功のようにみえる。

Experienceの改善が今後の課題?

ただ、今のネットでは、当日会見に参加したメディアの方の声を容易に拾うことができる。それは以下のような内容だった。

・会場が狭すぎて座りきれない(座れなければずっと立ってメモを取り、記事を書くことになる)

・公開したらダメ、という情報解禁の時間(エンバーゴ)の前に、自らのソーシャルメディアアカウントで内容を公開している(一般的とされるルールと大きく異なる行動)

・申し込みをしたのに、入っていないと言われて長時間待たされた。記事を書く時に試用するサンプル製品も受け取れなかった

・スクリーンが下すぎて、前の座席の人の頭が写ってしまい、写真がうまく取れなかった

ここから判断するに会場の選定、設営、運営などの未熟さが目につき、メディアの取材「体験(Experience)」としてはあまり良いものでなかったように見える。

今、BtoBのTechの世界では特にExperienceという言葉が話題になっている。顧客体験(CX:Customer Experience)を高めることが売り上げ増につながり、また従業員体験(EX:Employee Experience)を高めないと、顧客体験も高まらないので、従業員の働きやすさなどにも注意を払い、改善していく傾向が強まっている。気持ちよく働き、気持ちのいいサービスをするというわけだ。

メディアの方々は「運営や会場の不備があったとしてもそれは関係ない。記事ではちゃんとプロダクトのことを書きます」という趣旨の発言をされていた。その通りだと思う。だからこそ、良質な記事がたくさん露出するという結果になった。

なぜ起きた?

基本的にこういったメディア向けイベントの企画・運営にはPR会社が関わっている。一般的にPR会社は過去にも同等のイベントを運営した経験を多数持つため、「こうやったらうまくいいく」という「ベストプラクティス」を知っている。なので経験のあるPR会社と組んだら、あまりにひどい運営にはなりにくい。

ここからは想像なのだが、こういった発表には直前の変更がつきものである。何かリカバリーの効かないタイミングにて、変更などが入ってしまった可能性もあるのではないだろうか。(日程変更などが起きた場合には、当日のスタッフの割り振りや会場の部屋が空いておらずに狭い場所になってしまう可能性もある)

防ぐには?

準備段階からPR会社と適宜打ち合わせを行い、なるべく提示されたスケジュールに乗っ取って進めていくのが良い。ユニークなアイデアを思いついた場合もそれが果たしてその場で受け入れられるのか、やった場合にどんな利点と欠点があるのかを調べ、変わったことをしない勇気も必要かもしれない。他社がどんな会場でどのように進めているのかを知っておくことも有効だろう。








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加藤恭子:BtoBのTech広報ビーコミ
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