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✴︎ 話すこと

 人前で自分が思うように話せないこと、言葉が出てこなくなることを、人前でないときにも自己アピールをしないことでバランスをとっている、ということはあると思う。できない方の自分に合わせていることが多い。
特に自分について話すことが難しいこと、言葉に詰まることの規則性は他者に理解できることではないし(自分でもよくわからない)、「話す」ということは当然のこと過ぎて、話せなさを説明することは難しく思える。でもそのことが、相手への無関心や信頼していない素振りとして誤解に繋がってしまうなら、裏目に出ている。
どのようなコミュニティ、雰囲気、関係性でなら相手と楽に話せるのか、を私はこれまでに試してきたし、面接や舞台に立って話すことなど、ある種割り切った場面では言葉に詰まらずに思うように話せる。だけど、どのような関係性であっても自分のことになると、言葉が詰まる。19歳から日記を書いていて、自分の中に言葉があることはわかっているのに、人前となると言葉がさーっと引いていく。話したいことがあって決めていても、言葉が詰まっていくことに、その最中に自信を失っていく。
そのことを私は自覚してる、だから何か他の考えや既存の価値観に頼って自分を表したり、言い換えて伝えようとすることは私にとって自分のことを知らせるための1つの手段だった。
 まずは心理的安全性を確保できる相手と話すこと、そして私もリラックスして安定した状態で言葉を口にすることができる状況であること。
これからも自分で工夫していく中で条件が変わる可能性はあるかもしれないけれど、もう一旦そういうふうに決めてしまった方がいい気がする。大切な友人を余計に戸惑わせたりしたくない。
このことすら、いつも、自分から、自分の口から人に伝えることが難しい。
話せばなんてことないことだってわかっているのに、自分の身体は強ばって、言葉よりもその状態が先に相手に伝わって、見合わせた顔が静止する。目の前にいる人をもその緊張感に巻き込んでしまうことが苦しい。

✴︎ 自己理解や悩んだりすることに付き合ってくれたもの

○ 伊藤亜紗さんの著書
 『どもる体』医学書院,2018年
 『記憶する体』春秋社,2019年

○ 発話することの戸惑いや苦しさに寄り添ってくれる本
 斎藤陽道さん
 『声めぐり』晶文社,2018年
 『異なり記念日』医学書院,2018年

○ 障害と日々の工夫の数々
 伊藤亜紗さん
 『目の見えない人は世界をどう見ているのか』光文社,2015年
 『手の倫理』講談社選書メチエ,2020年
 伊藤亜紗さん・村瀨孝生さん共著
 『ぼけと利他』ミシマ社,2022年

○ ほっとした映画
 『私だけ聴こえる』松井至,2022年
 『C’MON C’MON』マイク・ミルズ,2021年

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