展示会・イベントにおける、Apple Vision Pro の活用・体験設計
今回の記事では、Apple Vision Proのプロジェクトや体験会などで得た経験をもとにして、展示会・イベントにおけるApple Vision Proの体験設計についてまとめたいと思います。
展示会・イベントで考慮すること
展示会やイベントでVision Proを利用する場合は、個人利用に向けた配信アプリとは環境が異なるため、デバイス・アプリ以外の状況も考慮して体験設計をする必要があります。
特に気を付ける必要があるのは体験者・運営・環境への考慮。
体験者について
スマートフォンやタブレットなど、使い慣れた方が多いデバイスとは異なり、まだ珍しいVision Pro。
その場で初めてデバイスに触れる方も多く、どう操作するのか・何をすれば良いのか分からないケースも多く、どんどん積極的に色々試したり、恐る恐る体験をしたり、と人によっても反応は様々。
運営について
体験者だけでなく、運営スタッフも慣れるまで時間がかかります。期間中に新しく入るスタッフもいます。
準備の工程や体験中のサポートが多くなると学習コストもかかり、体験時間が伸びると待機列が長くなってしまうことも。
環境について
展示会やイベントでは他の展示物が用意されていることが多く、デバイス・アプリ側または体験者自身でコントロールできない周囲の環境にも大きく影響を受けます。
他の展示をたたせるために、強い光が入る、または暗い空間での体験になるということも。
Apple Vision Proで考慮すること
Apple Vision Proでは、高精度な描画・アイトラッキング・ハンドトラッキングを活用して、デジタルで描画されたオブジェクトをその場所にあるモノとして、つまんだり動かしたりするような、実態とデジタルが混ざったような体験をすることができます。(もちろん、これだけではないですが。
これはVision Proならではの特徴的な体験ではありますが、快適に利用するには
・アイトラッキング・ハンドトラッキングのキャリブレーション
・ジェスチャー操作のレクチャー
という事前の準備が必要になります。
なお、デフォルトの設定はアイトラッキングですが、アクセシビリティの設定で頭・手首・人差し指で利用することもできます。
アクセシビリティについて詳しくはこちらにも参考に。
例えば、弊社で実施していたVision Proの体験会では
ゲストモードに設定して、体験者ごとにアイトラッキング・ハンドトラッキングのキャリブレーションを実施
MacやApple TVに画面共有をして、体験者の見ている画面を確認しながら操作方法をレクチャー
という対応で快適にApple Vision Proを体験していただきました。
しかし、展示会やイベントという時間や場所に制限のある中で実施するには体験内容とのバランスを考えて検討する必要があります。
準備や学習時間を長く取り本来見せたい体験が短くなると、全体体験のバランスが悪くなり、Vision Proのデモという意味合いが強くなってしまいます。
また、Vision Proではビデオシースルー(パススルー)という、カメラで撮影された風景映像の上にデジタル情報を重ね合わせる形で高精度な描画表現を実現しています。そのため、カメラで撮影が困難な環境(暗い場所・狭い場所など)ではエラーなど表示されてしまうこともあり、利用する環境も重要になってきます。
※ ビデオシースルーについてはこちらの記事も参考にしてください。
体験設計の組み立て方
展示会やイベントではApple Vision Proだけではなく、展示会・イベント全体としての体験・運営・環境を意識することが重要になってきます。
自分がApple Vision Proの体験設計を行う上では、特に以下のような点に注意しています。
体験:準備や学習を出来るだけ少なく
準備や学習を極力減らし、アイトラッキング・ハンドトラッキングのキャリブレーションやハンドジェスチャーを必要としない設計。
運営:体験サポートを出来るだけ少なく
体験者が迷いにくいように、画面内に案内を出してコンテンツの中で誘導してサポートを出来るだけ減らす設計。
環境:環境によるリスクを出来るだけ少なく
環境上の制約を考慮して、実現可能な範囲を探り設計。早期に確認・調整をを繰り返しながら体験内容を調整。
展示会やイベントでは、こちらを考慮しながら設計したものを作り上げながら、シミュレーション・現地確認を繰り返しながらチューニングして、体験としての精度を上げて行きます。
体験設計の時点から意識しておくことで、個人向けの利用が多いApple Vision Proや各種HMDも、展示会・イベントなどで利用しやすくなります。
補足
今回の記事では、ビジネス寄りの真面目な展示会・イベントかつ長期での利用を考慮して、安全・安定という観点で記事をまとめましたが、その中でどう楽しさ・驚きなどをどこに入れるかも重要になってきます。
特にエンタメ寄りのイベントの場合にはそこが顕著になり、例えば事前の準備や学習もストーリー体験の1つに入れて、準備・学習から楽しめるというような体験を作ることもできます。
ストーリーに没入するためには、体験・環境・運営を連携した作り込み・工夫がより重要になってきますが。
どうしてもアプリ内の体験に閉じてしまいがちですが、展示会・イベントはその場所やモノも活用できる機会ですので、
展示会・イベント自体の目的、Vision Pro 体験の目的、そしてそれをどうやって実現・実施するか
という全体を見据えることがエンタメ・ビジネスの領域に限らず、体験設計の肝になるかと思います。
さいごに
Apple Vision Pro を活用したプロジェクトの弊社事例
❏ 展示施設向けコンテンツ・アプリ開発(伊藤忠商事さま)
❏ 3Dモデルビューワーアプリ開発(東京ガスさま)
❏ SunnyTune × Peridot(Nianticさま)
弊社MESONは空間コンピューティングの社会実装に取り組む会社です。
Apple Vision ProをテーマにしたR&D/事業開発に興味関心のある方、お気軽にご連絡ください!
❏弊社コーポレートサイト
MESONについてもっと知りたい方はぜひ以下の公式ホームページを御覧ください!