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「好き」について考える。#4 ガーゼのシーツ
ぐっすり眠るために、自分にちょうどいい高さの枕や、腰が痛くならないマットレスを厳選する話はよく聞く。
私も今の枕で落ち着くまでは、ネットでメーカーサイトの説明を読み、口コミを隅々まで読んで、自分に合いそうなものを探した。マットも10年前に、西川のムアツふとんを買った。今はもっと扱いやすくて寝心地のいいものがたくさん開発されているので、次に買い替えるときには何にしようかと、今からネットのショッピングサイトで物色している。薄手で片づけしやすい商品や、ユーチューバーが案件で使用感を説明している商品など、たくさんあって目移りしてしまう。目的や使用感も選べるくらい、多様になっている。
これらとの相性や寝心地が良いことを踏まえてになるけれど、寝るときにいちばん大切にしたいのは、布団の中に入った瞬間の心地よさだ。
枕の形状や高さ、マットの硬さももちろんだけど、その前に触覚で感じ取るシーツの触り心地。マットのシーツに皴が寄らないようにピシッとかけて、掛布団に空気を含ませるように何回かバッサバサさせてから敷くだけで、寝心地は段違いに変わる。
これだけで寝るときのストレスはかなり軽減されるけれど、シーツの生地も大事。
私は肌が弱いので、化繊のものは合わない。だから綿のシーツをいつも使っていた。随分前になるが、ガーゼのシーツやガーゼケットというものを見つけたとき、正直なところ、今使っているタオルケットや普通の綿のシーツと何が違うんだと思っていた。
買いたいと思ったきっかけが「他のシーツよりも乾くのが早い」だった。
当時、乾燥機がなくベランダのスペースも狭いアパートに住んでいたので、シーツの洗濯がしやすくていいなと思ったというくらいの軽い動機だった。
ところが。
購入して使ってみると、肌触りの良さに驚いた。
すべすべとふんわりを両立させた、健康的だけど上品な感じ。
繊維を感じさせないきめ細かさ。
夏は汗をかいてもべとべとした感じはなく、冬は空気を含んで暖かい。
そして、洗濯したら本当に乾くのが早い。ダブルガーゼだとか三重、五重とか種類にもよるけれど、夏なんて1~2時間あれば乾いてしまう。冬でも乾かなかったらどうしよう…と心配する必要がない。
感覚的にも機能的にも抜群なのだ。
それから私はガーゼ製品に夢中になった。パジャマもガーゼ、ハンカチもガーゼ。こののち生まれた息子の肌着もガーゼ。ベビー布団のシーツももちろんガーゼ。
ただ、「ガーゼ」で検索していろいろと買い続けていくと、ガーゼにも良し悪しがあることに気づく。目が粗くてふわふわとは言い難いもの、何度か洗うとガサガサするようなものもあった。使い続けるとすぐに繊維が切れてしまうものも。
最初に買ったシーツのメーカーは本当に質が良かったんだと気づいたのは、何年も経ってからだった。デザイン重視で買っていた時期もあるけれど、老舗のメーカーの質感は使い続けても変わらないし、強度も高い気がする。
ここのシーツは長く使っているけれど、長持ちしている。息子が赤ちゃんのときに使った小さなガーゼケットは、高校生になった今でも枕カバーとして使っている。他の枕カバーよりも気持ちがいいそうだ。
綿製の寝具も、ブロードとかサッカーとか天竺とかフランネルとかいろいろある。
サッカー地は夏に涼しくていいし、フランネルは冬に重宝する。天竺編みの柔らかい質感も好きだ。ブロードのピッと引き締まるようなすがすがしい感じも。でも、シーツにはできればガーゼを使いたい。せめて肌に直接あたる部分だけでも。布団に入った瞬間に全身の力が抜けて、包まれるような溶けてしまいそうなあの感じの中で眠りたいから。