【農業】ロゴに込めたもの。大切なもの。#022
デザイナーさんとの出会い
実家の農業を手伝い始めて半年以上が経とうとしています。
農作業の合間に、両親と農業について話すことも多くなりました。祖父母の思いや、両親が祖父母から繋いできた農作業のこだわりや思いを知るうちに、我が家の農園で作った作物であることをもっと分かりやすく伝えられるようにしたいなぁ、、と考えるように。
そんな頃、子連れMBAで知り合ったwebデザイナーおちのりこさんとのご縁があり、ピンときて農園のロゴ/屋号を作ってみようと検討をお願いしたのでした。
ロゴを作りたいとぼんやり思っていたけれど、デザインの知識もなければweb作成技術もない。プロに依頼して、本当に良かった!
子供達の受験や進学で超多忙な春先だったのに、やり取りを重ねて少しずつ形にすることができました。自分が苦手なところやキャパオーバーになりそうな部分は、いつかやろうと「いつか」を待つのではなく、潔く誰かにお願いする方が断然いい!改めて、そう感じました。
のりこさんは、コーチングの資格も持っておられるので、単にロゴを作るだけでなく、
・祖母が守ってきたこと
・私達の大切にしたいもの
・これから農園をどうしていきたいか
などを固めながらロゴ作成を進められたのも良かったです。
父も母も「そんなん考えたこともないわー!」と最初はたじろいでいましたが、聞かれなければ改まってこんな話を親子ですることもなかったはず。何度も話を重ね、祖母にも当時の話や思いを尋ねてみたりしながら、言語化していきました。
祖母の思いと屋号
祖母についてはこちらに記載しましたが、中でも一番大事にしているのは「除草剤を極力使わない」信念を貫いていること。
【農業】私のおばあちゃん#003
【農業】私のおばあちゃん(続き)#004
農作物にとって土壌は命の源。
除草剤を使うと土壌が悪くなり、肥料の吸収も悪くなると祖母は話しており、我が家の農園やぶどう園は、祖母の頃から何十年と除草剤をほぼ使っていません。
農業は雑草との戦いでもあるので、一般的には除草剤を上手く使いながら草を減らしています。
我が家は祖母の信念を両親も引き継ぎ、除草剤に頼らず、代わりに地道に草とりをしたり、ぶどう園全面に馬糞を撒いて草取りを楽にする工夫をしています。
ものすごく手間がかかって大変なのですが、我が家のぶどうの色づきが良かったり粒が大きかったりするのは、土壌が良い状態であることもきっと影響していると信じ、日々雑草と戦っているのです。
また、祖母との話の中で、昔は屋号がそれぞれの農家にあったことが分かりました。それぞれ、その屋号を軽トラの後ろに看板のようにぶら下げたり、キャベツの箱にスタンプし、自分の家の作物であることを区別していた様子。
その屋号のマーク知りたい!どんなの?と祖母の記憶をたぐり寄せてみると、、
こんなマークだったと!
祖父の父(私の曾祖父)の名前の一字を使って、菱形の中に「幸」の文字を描き、「ひし幸(こう)」と呼んでいたのだとか。
父が子供の頃、自分の屋号が「幸せ」の文字で何だか嬉しかったと話してくれました。
大腿骨骨折で入院中の祖母は、認知症が進み、会話が難しくなっていたのですが、退院後は徐々に意識がはっきりし当時の話を教えてもらうことができました。このタイミングで祖母の農業への思いや信念を聞くことができて、本当によかった。
高見農園のロゴ完成
こうして完成したのが、今回のタイトル写真のロゴになります。
・菱形の「幸」
代々続く我が家の農園。父に言わせれば、田畑があるから農業するのが当たり前、継ぐのが当たり前でやってきたようですが、繋ぐことってそう簡単にできることじゃない。祖母から農作業の工程や手順を口づてに引き継ぎ、自分のものにした母もほんとにすごいなーと思うのです。
「繋ぐ」に思いを込めて、「ひし幸(こう)」に支えられている形に決めました。
・ぶどうの絵
四季折々の農作物を作っている我が家ですが、1番祖母の思いが詰まっている「ぶどう」をメインに。
のりこさんや両親と何度もやり取りし、色味や雰囲気などあーでもないこーでもないと修正を重ね、大満足のロゴができました。
両親も喜んでくれていて、それが一番嬉しい!
冬の間、葉が落ちて細々とした茶色の木々が立ち並ぶ閑散としたぶどう園が、見るみると景色を変えて。
木の枝から新芽がにょきにょき。
あっという間に、ぶどうの木から新しい芽が、新しい葉っぱが、新しいぶどうの実が青々と息づいています。
これまで、出来上がったぶどうを夏に食べるだけだったから、毎年こんな風にぶどうの「生命がはじまる」んだなぁ。とぶどう園に行くたびに、ぶどう達のエネルギーを感じています。