介護私記 訪問診療は迅速にメリットは大きいぞ!20230426
祖母の介護生活において良かれと思っていたことが結果身体の負担になっていたということがあった。それは通院だ。亡くなる最後の2年間はほぼ歩けず車椅子で移動した。そして通院は祖母に外出の口実を与える大事なことだと思っていた。
祖母は98で亡くなったが最後の2年で急激に弱っていった。まず認知症によるイライラと物忘れ、足が弱り歩く時間が極端に短くなり、車椅子、床ずれ、寝たきり、食事と水の減少、オムツと浣腸によるコントロール、尿道カテーテル、そして老衰による旅立ち。
この間ざっと2年でこれだけのことがあった。もちろん徐々に弱くなっていたのだろうが、ここ2年は目に見えて弱っていった。私はそんな中でもまだ寝たきりになる前、通院こそがコンスタントに訪れる外出の機会として通院が終わると遠回りをして花の名所や大型スーパーなど外に出ずらくなった祖母のために帰り道という名目で連れ出していた。がしかし座っていることも体力を使う年齢だった。もう少し早めに訪問診療に切り替えてあげればよかったと後悔する一面もある。
私たちが訪問診療に切り替えたのが亡くなる6ヶ月前だ。まず病院から紹介状を書いてもらう、これに大体1ヶ月かかる。その上で訪問診療をしている事業所に受け入れてもらえるかケアマネさん経由でお願いしてもらう。了承されれば次に家族の面談がある。日程をいただけたのが了承から1ヶ月後だった。そして面談で3時間ほど費用の説明から患者自身の日々の過ごし方、好物、趣味ということを話す。そして初めて1回目の訪問診療となる。
何が言いたいかというと、訪問診療は人手不足なのだ。高齢者で訪問診療を希望する人のほとんどが80代90代だそうだ。だから希望しても了承されるかどうか。了承されても実際に訪問が始まるまでにかなり時間がかかる。私たちの場合3ヶ月弱かかった。これでも最大限迅速に動いたし、動いてもらえた。それで3ヶ月である。
だがしかしメリットは大きい。
まず通院が無くなる。そして複数課を1人で見てもらえるので診察そのものがコンパクト時間的にも処置的にも。そして専門的な処置は連携する他の課のお医者さんが来ることもある。処方箋もその場でもらえる。そして大量購入しないと買えない医療品が少量ずつ提供してもらえる。(もちろん上限金額あり)ここ非常に助かるポイント。
尿道カテーテルを祖母は挿入していた。これによってオムツの中が尿で濡れない、背中の褥瘡を清潔に保つことができる。そして尿道カテーテルは1ヶ月に1回交換が必要だ。これはカテーテルと尿バッグがセットになったものと注射器が必要になる。購入しようとすると10個や12個単位で購入しなければならない。注射器に至っては100個単位でしか購入できない。これらを金額の上限範囲内で1つ2つずつ提供していただける。もちろん全ての訪問診療でこのようなサービスを行っているかは自分で調べてほしい。この点で非常に助けられた。尿道カテーテル、注射器、傷の処置に使う不織布とガーゼ、防水フィルム、ハイドロサイトジェントル銀など。単品では購入できないものが上限はあれど提供していただき治療処置に活用される。
注意点もある。
訪問診療は基本的に介護保険は使えない。基本的に医療保険で使うものだ。なので介護保険では賄えない。この点は注意しておこう。
最後に自宅での看取りを覚悟している場合は訪問診療が最適な選択肢だと考えている。日々の身体の状態を把握していてくれた上で、どのぐらいかという猶予期間も私たちは教えていただけた。もう少し先だと思っていたが訪問診療のお医者さんの言うとおりの旅立ちを祖母は迎えた。最後の時身体に現れる症状は、どのような対応をすればいいのか、看取りあと死亡診断書を誰に書いて貰えばいいかなど全て対応してもらえた。なので自宅での看取りには訪問診療は欠かせないと思う。