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(無料公開中)<第74回> 「年収アップ」を実現するために有効な自己PRとは?
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こんにちは、安斎響市です。
今日いただいた質問は、
今の会社に転職して1年ちょいです!
年収アップのために転職活動しています。
年収アップの転職は叶うと思いますでしょうか? 営業をしていて毎月予算達成はしており、実績はあります。
というものです。
※この週刊連載:安斎響市の「転職相談室」(毎週土曜日更新)は、マシュマロというツールで募集した匿名の質問に対して、安斎響市が、徹底的に真面目に答えていくという企画です。
かなり込み入った質問や、人生相談のような投稿も多く、Twitterで140文字だけの回答だと私の意見を説明しきれないため、毎週1問、このnote記事で徹底解説していきます。
質問の投稿は、こちらから。
年収アップの転職は叶うと思いますでしょうか?
と言われると…
もちろん、叶うかどうかは自分次第です。
私は、20代半ばの頃の年収は400-500万円程度でしたが、30代半ばに差し掛かった今では、その4倍くらいは(会社員の給与だけで)普通に稼いでいます。副業収入を含めたら、さらに上です。
一方、何度転職をしても年収が一向に上がらない、という人も世の中には沢山います。3回転職して年収300万円未満という人もいるでしょう。
「年収アップのために転職活動をする」という姿勢は、私は結構好きです。
私自身も、アラサー以降は、ほぼ「年収を上げるための手段」として転職をしてきたからです。自分でも信じられないくらい、転職前後で大幅に年収が上がるということが、過去数回連続でありました。
転職で年収を上げることは、「現実的に可能」です。
ただし、それは自分の自己PRの上手さ次第です。相手企業や面接官に対して自分をできるだけ高く売ることができるか、ということです。
例えば、今日の質問文の中にある、"営業をしていて毎月予算達成はしており、実績はあります。" では、ちょっとダメです。
この自己PRでは、恐らく年収が上がることはないと思います。「毎月、予算を達成しています」は客観的な実績とは呼べないからです。
現在の年収よりも高い年収での内定オファーを獲得するためには、当然、面接での自己PRで高評価を得て、「この人には高めの年収を提示してでも、ぜひ他社ではなく当社に来てほしい」と思ってもらう必要があります。
今在籍している業界よりも平均年収が高い業界に移れば、自然と年収が上がる可能性は高くなるかもしれませんが、その場合も、「業界が変わっても結果が出せる」という再現性の証明が必要です。これができないと、平均年収が高い業界に行っても自分の年収は変わらない、ということになりかねません。
このときに重要なのが、「客観的な実績」です。
年収アップのための「高評価」につながらない自己PR
例えば、"営業職として毎月予算達成しています" という自己PRには、客観性も、再現性もありません。
なぜかというと、
「予算」や「営業ノルマ」は、あくまで社内の目標値であり、その達成がどのくらい困難なものなのか、社外の人からは分からないからです。
つまり、あなたが成し遂げた仕事がどのくらいすごいことなのか、上手く伝わりません。
会社によっては、予算があまりにも低すぎて、それほど努力していなくても全員達成できてしまう、という場合もあるでしょう。
あるいは、たまたま業界全体が予想以上に伸びて追い風になり、あっという間に予算達成してしまった、という場合もあると思います。
逆に、上から降りてきた予算があまりにも非現実的で、達成できないのが当たり前という状況や、業界全体が不景気で沈んでいるため、外部要因で予算達成は困難、ということもあり得ます。
こういった様々な状況が、中途採用の面接官には上手く伝わりません。
「営業予算」は社内で作った基準なので、社外の人にはよく分かりません。
社内昇進の基準にはなるでしょうが、転職活動で社外の人に通じる「効果的な自己PR」には決してならないです。
端的に言うと、「営業予算達成」は、「実績」とは呼べないのです。
年収アップのための「高評価」に直結する、上手な自己PR
それじゃあ、営業の仕事はいくら頑張っても社外の人からは評価されないってこと? と思った方、それはちがいます。
重要なのは、アピールの仕方です。
例えば…
業界全体が、総需要対前年▲16%と非常に厳しい中、私のチームでは対前年+2%と健闘いたしました。この成果の要因は、既存顧客との関係を強化し、契約更新時に……(略)
対予算+8%、かつ対前年同四半期実績で+14%という過去10年で最高の伸び率で成果を残すことができました。この過程として、既存顧客へのルート営業を着実にこなすほか、さらに新規取引強化のために3つの施策を……(略)
前年が+5%成長に留まっていた状況を、今年は+11%成長まで持っていきました。国内マーケットシェアも4%から8%と倍になり、ブランドのプレゼンスを高めることができました。私がこのために取った具体的な行動は主に2つあり、まず1つ目は……(略)
このような自己PRができれば、同じ営業の仕事のアピールであっても、「予算達成しました」と言うよりも格段に評価は上がるはずです。
重要なのは、
その数字が持つ「意味」を説明すること
なぜ、その数字を達成できたのか「過程」を説明すること
この2点です。
【客観性】 数字が持つ「意味」を語る
よく「数字で語れ」と言う人がいますが、数字を出すだけでは何の意味もありません。
対前年の成長率、マーケットシェア、市況と自社状況などに触れて、その数字がなぜ「大きな成果」だと言えるのか、論理的かつ客観的に説明をしないといけません。
そもそも、自分が予算達成したかどうかは社外の人には確認しようがないため、面接でいくらでも嘘をつけます。
新卒の就活面接で、やたらと「サークルの副リーダー」「アルバイト先のリーダー」が多いのと同じです。言ったもん勝ちみたいなものです。
一方、マーケットシェアや売上高推移の話は、社外の人でも調べればある程度分かるので、そう簡単に嘘はつけません。適当な数字を作って誤魔化すと、深く突っ込まれた時に矛盾が生じて、結局バレてしまいます。
面接を受けているのが難関企業であればあるほど、こういった「単純な数字」には騙されず、「その数字が持つ意味」を突っ込まれます。
言ってしまえば、これが客観性があるかどうかです。
【再現性】 目標達成の「過程」を語る
また、「過程」の説明も同じくらい重要です。
採用面接において、面接官が、「予算達成」や「実績の数字」という事実よりも遥かに重視しているのが、「その人自身が何を考え、どう行動したのか」だからです。
ぶっちゃけ、営業マンのスキル関係なしに「商材が良かったから」売れただけ、ということもあります。
例えば、iPhoneの最新機種って、別にそんなに努力しなくても売れていきますよね。Appleヘビーユーザーは、何も言わなくても勝手に買ってくれます。Apple Storeのスタッフ個人の販売力も多少はあるかもしれませんが、ほぼ誰がやっても同じです。あれだけの商品力とブランド力があれば。
いや、そんなことはありません! 私が営業担当だったからこそ売れたのです!! と言いたいのであれば、
自分が具体的にどんな分析をして何をしたのか? どんな工夫をして、何をやり遂げたのか? その行動はなぜ数ある選択肢の中で正解だったと言えるのか? といった深掘り質問に完璧に答えられないといけません。
これが、再現性があるかどうかです。
担当した商材が良かっただけ、担当していた顧客がたまたまタイミング良く買ってくれただけ、など、自分の実力ではないところで成果が出ていた場合、再現性はありません。
一方、自分自身が真剣に考えた工夫と努力の末に成し遂げた成果だと信じられるエピソードがあれば、商材や環境、会社が変わっても、そのスキルには再現性があると言えます。
おわりに
以上、年収アップを狙うための上手な自己PRの方法でした。
もちろん、ある程度の明確な実績がないと、答え方のテクニックだけで転職を成功させることはできません。まずは、自己PRの方法以前に、社外の人から見て高く評価される具体的実績を作るのが先決です。
一方、いくら実績があっても、自己PRが下手くそだと成果が十分に伝わらず、面接での高評価にはなかなか繋がりません。
今日の記事の内容に沿って、「客観性」と「再現性」に気をつけて自己PRをすれば、面接での評価が上がり、転職での年収アップを実現できる可能性は高まるはずです。
自分を上手く売るためのテクニックは、身に付けておいて損はないですよ。
もっと知りたい方は、私が書いた面接対策本も、ぜひ読んでみてください。
以上、お相手は、安斎響市でした。
転職攻略noteや書籍も、よろしくお願いいたします!!
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