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(無料公開中)<第72回> 面接で、自分の「強み」「弱み」の上手な答え方はありますか?
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こんにちは、安斎響市です。
今日いただいた質問は、
訳あって20代の転職なのですが、外資系のコンサルやwebマーケティングを見ているものです。転職活動時、言ってもいい強みと弱み、タブーな強みと弱みはありますか?
というものです。
※この週刊連載:安斎響市の「転職相談室」(毎週土曜日更新)は、マシュマロというツールで募集した匿名の質問に対して、安斎響市が、徹底的に真面目に答えていくという企画です。
かなり込み入った質問や、人生相談のような投稿も多く、Twitterで140文字だけの回答だと私の意見を説明しきれないため、毎週1問、このnote記事で徹底解説していきます。
質問の投稿は、こちらから。
えーと…
実はその質問の答え、新刊『すごい面接の技術』の第3章、P100-103 に、バッチリ書いています!!
過去4回の転職を経て、32歳のときに外資系大手IT企業の部長職に就任、現在、中途採用の現役面接官を務めている私が書いた本なので、ある程度の説得力はあると思っています。
ぜひ、読んでみてください。
ご購入は、こちらから。
・・・。
とは言うものの、
本を買ってください!! だけだと、あまりにも宣伝が過ぎるので、このnote記事でも、ちゃんと答えようと思います。
せっかくなので、本に書いたよりも詳しく書きますし、本には書いていない内容も追加で書きます。すでに『すごい面接の技術』をご購入いただいた読者の皆様にも、学びのある記事にしたいので。
さて…
「20代の転職」だとか、「外資系コンサル」「Webマーケティング」志望という話は一旦置いておいて、
今日は、自分の「強み」「弱み」を面接でどうアピールするべきか? NGな答え方、OKな答え方はあるのか? というお話です。
この質問の対策方法としては、あまり年代や業界や職種に左右されるものではありません。基本的な考え方は、共通のはずです。
「強み」のタブーな答え方
まず、あなたの「強み」は何ですか? という質問の対策について。
圧倒的にタブーなのは、
私の強みは、明るい性格です!
私の強みは、仕事をやり切る粘り強さです!
私の強みは、コミュニケーション能力です!
みたいな精神論です。
ピカピカの就活生じゃないんだから。(今どき、新卒の就活でも、こんな答え方したら内定出ないと思います)
一方で、
私の強みは、英語です!
私の強みは、会計財務の知識です!
私の強みは、デザイナーとしての実務経験です!
これらの回答も、0点です。
履歴書を見れば分かることは、面接で言わなくていいんです。言うのなら、もっと具体的に説明しないと意味がありません。
「強み」のベストな答え方①
今話しているのは、中途の経験者採用の話です。基本的には、「即戦力」になれる人材を求めています。
仮に、企業側がポテンシャル採用を謳っているとしても、それは、ただ単に採用基準が低く、待遇が悪いだけの「中途採用」なので、考え方はほぼ同じです。
あなたの「強み」は何ですか? という質問に対して、面接官から高評価を得るための「ベストな答え方」を端的に説明すると、
具体的、かつ、再現性のある内容が望ましいです。
例えば、
私の強みは、仕事をやり切る粘り強さです! 業務プロセス効率化の仕事では、メンバーへの徹底的なヒアリングを繰り返し、どうすれば無駄な仕事を削減できるのか、原因と対策を深掘りすることで、チーム全体で40時間/月の残業削減を達成しました。
私の強みは、英語でのコミュニケーション能力です! グローバル企業の海外営業部に所属していた3年間、四半期に一度の国際会議では、本社の製品マーケティング担当として、新商品のロードマップを各海外現地法人担当者と議論しました。過去3年で、合計12の製品を市場導入しました。
こんな感じです。
最大のポイントは、「強み」の根拠として、「過去の具体的な仕事の内容」に絡めて話す、ということです。
「チーム全体で40時間/月の残業削減を達成」など、成果が具体的であることも重要です。多くの人は、どんな仕事をしたのかばかり話して、肝心の成果は何なのかを具体的に言えていなかったりします。
上記のような答え方ができると、
「チーム全体で40時間/月の残業削減」とは、具体的に、何人のメンバーがいて、合計何時間から何時間に変化したということ?
「過去3年で、合計12の製品を市場導入した」というのは、売上やマーケットシェア的には、どういう結果だったの?
など、面接官からのさらなる「具体性」を追求する追加質問に繋がり、言ってしまえば、「自分の土俵」で自己PRを進めるチャンスになります。
少し話が逸れますが、「自分の土俵」に誘い込むというのも実は重要なポイントです。
自分が面接の中で、過去の仕事の具体的なエピソードについて触れると、相手側には疑問点が生まれ、もっと具体的に深掘りをしたくなります。
そして、事前に面接対策さえしっかりできていれば、「もっと詳しく聞かせて」という質問に答えるのは、それほど難しいことではありません。事前に予想しなかった超奇抜な質問が来るよりは、はるかにマシです。
面接では、基本的に、予想外な質問が来ると死にます。数々の難関企業の面接を突破してきた私でも、まったくの予想外な質問には戸惑って、その場で上手く答えられないことがあります。
「強み」質問に対する答えは、自分の「過去の仕事の内容」に具体的に絡めて回答し、意図的に追加質問をされるように仕向けるのです。
ぶっちゃけ、面接って、たったの45分か1時間くらい、ボロを出さずに逃げ切れば勝ちなんです。
自分が事前に用意してきた「鉄板エピソード」に誘い込んで、面接時間を少しでも多く、1分でも長く、自分が完璧に準備してきた自己PRを語る時間として消費し、そこで「強み」を相手に納得感あるものとして語れれば、面接の勝率はグッと高まります。
これは、自分のペースに持ち込む、という考え方でもあります。
「強み」のベストな答え方②
なおかつ、「強み」を語る際に重要なのは、「再現性」です。
ぶっちゃけ、「再現性」なんて知らねーよ。そんなもんケースバイケースだろ。というのが多くの人の本音だと思いますが、自分が仕事の中で、個人としてどう考え、どう行動し、どのような具体的成果を挙げたのか(上司に指示されたからやったのではなく)、というポイントは、多くの会社で意外と厳しく見られます。
「所属しているのが大企業だから、会社の看板で受注できたんでしょ?」
「市場が伸びてたから、結局は、誰がやってもその成果が出たんじゃないの?」
などの疑念を払しょくするための、自分が自発的に、こう考えて、こう行動したから成果が出たのだ、という説得力を生む答え方をする必要があります。
それこそが、たまたま上手くいったわけではない、自分が作り上げた成果なのだ、という「再現性」の証明になるからです。
このとき、重要なのは、「自分が考えて行動したこと」と、「チームとして全体の流れでやったこと」「トップダウンの指示で決まったこと」などを、きちんと切り分けて答えることです。
面接中に、過去の仕事の話で、「その仕事の元々の目的は何だったのか?」「その施策をするのが効果的だと最終的に判断した根拠は何か?」と深掘りしていくと、「いや… それは上司の指示で…」「自分としては役員に説明をして、最終的な決定は役員が下した」などと、実際に説明する人がいます。
それはそれで事実なんでしょうけど、面接の限られた時間内に「上司に言われてやったことです」「役員の決定に従った結果こうなりました」みたいな説明をするのは、完全に自殺行為です。まったく評価につながりません。
仮にそれが事実だとしても、自己PRの場で「上司の言われた通りに行動しました」と平気で言う人を、ほとんどの会社は評価しません。少なくとも、表向きには評価しません。
過去の仕事のプロジェクトが成功した理由が、「自分自身のアイディアや実行力」の結果ではなく、「上司の判断」「チーム全体の総合的な成果」だとすると、あなたが転職先の会社で同じ成果を出せるかどうかは「上司次第」「チームメンバー次第」になってしまいます。
「再現性」のアピールという意味で、自分自身が何をしたのか? はきちんと明確に伝えないといけません。仮に、それほど特別なことはしていないとしても、そこはある程度、(嘘にならない範囲で)魅力的に見せられるように上手く表現して、自分がいたからこそ出せた成果なんだということを全力で伝えましょう。
「弱み」のタブーな答え方
続いて、自分の「弱み」について。
私の弱みは、特にありません。
私の弱みは、粘り強いという「強み」の裏返しで、ついつい業務に集中し過ぎて残業過多になってしまうことです。
このような回答は、基本的にNGです。
「私には弱みは何もありません」という回答が論外なのは、このnoteサブスクの読者の方なら、もう説明しなくても分かるでしょう。もし仮に、「弱みはない」という回答が評価されるのであれば、面接官は初めからこんな質問はしていません。
また、自分の「弱み」は、「強み」の裏返しです、という回答は、ある程度は通用するものではありますが、必ずしもベストな答え方ではありません。なぜかというと、この回答は、質問を避けて、上手くかわしているに過ぎず、相手の質問意図にきちんと向き合っていないからです。
「弱み」のベストな答え方
自分の「弱み」に関して、最も良い答え方は、
私の現時点での弱みは、数値分析のスキルがやや不足しており、他のメンバーの力を借りないと詳細なデータ分析ができないことです。この点は自分自身も認識しており、データベースの知識やSQLのスキルを現在磨いているところです。
私の弱みは、仕事に対して真剣になり過ぎるあまり、時折、他部署のメンバーと衝突してしまうことです。立場が違えば、言い分も違うということをきちんと認識して、その時々で適切なコミュニケーションを取れるように、自分自身、成長していきたいと考えています。
こんなところです。
重要なのは、「自分の弱み」をきちんと客観的に認識したうえで、それを克服しようとする改善・努力の姿勢があることです。
弱みの無い人は、基本的にいません。
面接で「弱みはありません」と答えると、傲慢な人だと思われて、内定が遠ざかります。
一方で、あまりにも正直に「自分の弱点」を話してしまうと、それは単にネガティブキャンペーンになってしまい、自分のダメなところを伝えるだけになってしまいます。
この難関を突破するためには、「○○○○が自分の ”現時点での” 弱みだと認識しているが、それを克服するために現在○○○○の努力をしている」という話を誠実に語るのが最も効果的です。
”現時点での” というのがポイントですね。
ちなみに、実際に改善の努力しているかどうかは、別にどうでもいいです。こういう答え方をすると、「弱み」に関する回答でも評価が上がる可能性がある、というだけです。
以前から何度も言っている通り、面接で見せる自分は、ある程度は「作り物」で構いません。
実際に入社して、社員として仕事をする際にだって、自分が思っていることを全部、上司や同僚全員にさらけ出すことはないでしょう。それと同じです。初対面の面接官に、自分の「本当の弱み」を全部正直に話す必要はありません。そんなことをしたら落ちます。
キレイゴトだけでは生き残れませんし、残念ながら、正直者は損をします。
おわりに
以上、自分の「強み」「弱み」を面接でどうアピールするべきか? NGな答え方、OKな答え方はあるのか? というお話でした。
こういったNG回答・OK回答・GREAT回答が、面接でよく聞かれる26問に対して網羅されているのが、新刊『すごい面接の技術』です。
今日の記事を読んで「勉強になった」と思っていただける方は、ぜひ書籍も読んでみてください。面接対策の役に立つと思います。
(この記事の50%程度は、本に書いたこととほぼ同じ内容です)
安斎響市 『すごい面接の技術 転職活動で「選ばれる人」になる唯一の方法』
自分の強みは何か? 弱みは何か? などと考えるのは、精神的に結構ストレスの溜まることですが、あまり難しく考えず、真面目に悩み過ぎず、「自分の強み・弱みを何と表現すれば、企業側から評価されそうか」に重点を置いた方が、建設的です。
面接官も、こういった複数の質問から、候補者の人となりや、考え方の傾向を知りたいというだけで、必ずしも、本音の「強み」「弱み」を聞きたいわけではなかったりします。あまり本音で答えると、墓穴を掘る結果になってしまいます。
ビジネスには常に本音と建前があり、面接にも常に本音と建前があることを意識して、転職活動に臨みましょう。
以上、お相手は、安斎響市でした。
転職攻略noteや書籍も、よろしくお願いいたします!!
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頂戴したチップで「餃子とビール」を購入させていただき、今後の執筆活動に役立てたいと思います。安斎に一杯おごりたい方は、ぜひチップをお願いいたします。