若いは赤い? 《SASA023》
「わかる/わからない」の視点で、アートに関わる話を、思いつくままつらつらと綴っています。
ギャラリーのショーウインドウで「お!」と思う作品に出会うことってありますよね。先日、渋谷のBunkamura Galleyでの笹尾光彦展「花のある風景」はそんな感じで会場に足を踏み入れました。
私は存じ上げなかったのですが、人気作家さんのお一人で、毎年開かれる個展を楽しみに待っている方が多いとのこと。売約済みの赤いシールがほとんどの作品についていました。
そうそう、赤なんです。どの作品も何か心地よい赤の色が印象的で、画面から若々しいエネルギーというかポップなリズムが伝わってきます。
「作家さんはお若い方なんですか?」とスタッフの方に尋ねると、「今年で80歳なんですよ」とのお答え! あらぁ、見込み違いもはなはだしかったですね。
近くの渋谷パルコでも『FLOWERS』という個展を開催しているとのことだったので、そちらも行ってみる事に。
やっぱり渋谷が似合う作家さんだなぁという印象。
そこで、合点がいきました。
Babyのことは赤ちゃんっていいますよね。語源は、生まれた時の皮膚が赤く見えるのでという説が一般的みたいですが(ググった結果)、何にしても赤という色と響きが、元々みなぎるエネルギーを感じさせるものだからでしょう。還暦を迎えて、赤い”ちゃんちゃんこ”を着るという慣例も、もう一度、生まれ出るエネルギーを身につけるという意味が絶対ありそう。
笹尾さんが56歳から画家に転身され、80歳になった今も、こうした若々しい作品を描かれているのは、赤のパワーを引き込まれているせいに違いない…と、来月還暦を迎える自分は勝手に想像し、恥ずかしがらずにその日は赤をまとおうと決めたのでした。
そうそう、Bunkamura Galleyでは奥様の笹尾つぐみさんのコラージュ展を開催していました。ご夫妻そろっての素敵な人生が想像できます。あやかりたいあやかりたい…。
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