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アートはビジネスの役に立つのか?② ”素材”を突き詰める


「わかる/わからない」の視点で、アートに関わる話を、思いつくままつらつらと綴っています…。
 アートの魅力や可能性を伝えるにあたって、「役に立つ/立たない」という問いに必死に答えるほど、自分の感じていることから遠ざかる気がすると前回書きました。でも、役に立つ気がとてもするとも書きました。…一体どっちやね~ん! って感じですが、こんなところが参考になったよというあたりから紐解いてみたらいいのかなぁと思い直しております。

アーティストの方と直接お話する機会が増えるようになり、色々と刺激を受けています。以前、ガラスを素材にキラキラと眩しい作品を作られていたアーティストさんとお話する機会がありました。
「美しい作品ですね。光の透明感とかを表すので、やはりガラスを選ばれたんですか」
との私の問いに、ちょっと予想外の答え。
「ガラスが好きなのかもしれません。力を加えれば簡単に割れてしまいますが、熱を加える事でその形を変えることもできる。凄く細く伸ばすこともできるし、大きく取り扱っても向こうが見えたり…」
そこからもう、ガラスをそれこそ煮たり焼いたりの話を嬉しそうに語り続けるのです。「ガラス=キラキラ」の自分の発想の貧しさを思い知らされました。

別のアーティストの方はこんなことを言ってました。
「(自分にとって)新しい素材がどんな表情を見せるのかが楽しみで、あれもこれもとともかく試してみたくなります。思い通りにならないところがともかく面白い…」
 作品を作るのが目的ではあるのでしょうが、自分が扱うものへの興味と関心がともかく半端ないのです。これ、通常のビジネスでも見習いたい姿勢ですよね。

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《クロマ》
キム・ユンチョル
ヨコトリ2020

*本文と直接の関係はありません

 例えば新商品開発において、マーケットリサーチは重ねてはいるものの、対象に対して、ここまでのめりこむことは、まず無いでしょう。
「最近のシニア層ってキラキラしたいだろうから、そんなあたりをコンセプトにしたサービスで企画しようよ」
…ってほど安易ではないかもしれませんが、一面を捉えただけでアイデアを作ってしまいがち。我を忘れるほど”素材”と向き合う過程を経て、たどりつく”キラリとした特徴”こそが表現すべきことなのだなぁと。
参考になるわぁ~

カバー写真 / 《回転する森》 ニック・ケイヴ ヨコトリ2020より


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