【Six Moon Designs】Deschutes Plus Tarpの甘辛レビュー②
前編に辛口が集中してしまった。純粋なメリットと、アルプスでも使えたよ、という回。
設営が早い。撤収はもっと早い。
前方3点、後方3点をペグで打ってポールを立てれば完成する。ちなみに側面真ん中のループにガイラインを設けて外側に引っ張ると居住性が格段に上がる。
前方の両サイド2点を最初に打つときにテント、さらに寝る時のポジションがある程度固まるので慎重に調整する。慣れれば1人分しか寝られない狭い場所を狙って設営することもできる。そういう点でいえば、通常のソロテントよりも適地を探しやすいといえる。
撤収はさらに簡単だ。ダブルウォールテントに比べて断然に早く、軽量化に続く大きな恩恵だった。幕内で荷物をすべてパッキングしておき、外に出てペグを抜き、幕をまとめて終わりだ。
私は山と道のMINI2を使っているのでテントをフロントポケットに突っ込み、その日の行動中に干すようにしている。野営準備をする時もテントを取り出しやすく、行動がシンプルで効率的になった。
強風は”大丈夫”
北アルプス大天井岳など稜線上のテント泊にも挑戦した。翌朝、登山者のあいだで「爆風でしたね。テント大丈夫でした?」と話題に登るほどの風だった。最大で10m/sくらいだろうか。一番の懸念だった強風は、結果的に”大丈夫”という評価だ。
低山では専用の軽くて細いポールを使っている。これでも強風を経験したが、ポールが風でたわみやすいことがわかっていた。アルプスではトレッキングポールと併用し、これが正解だった。
ペグさえぶっ飛ばなきゃ大丈夫
構造上、テントの強度はペグをしっかり差せば問題ない。
ただ、テント内にいて爆風にさらされていると「ペグがぶっ飛んでいるんじゃないか」と疑心暗鬼になる。ペグがぶっ飛ぶとポールがテントを支えられずに倒壊する(経験アリ)ので、倒壊していないということはぶっ飛んでいないということだ。
倒壊してないな、とテント内から確認して再び眠る。このあたりの割り切りは人それぞれかもしれない。筆者は睡眠に関して図太い方でもないが、神経質な方でもない。ちなみに風が幕を叩く音はダブルウォールよりも格段に大きいので、耳栓は必須だ。
ただし、ペグではなくガイラインが切れるなどテントそのものの強度が打ち破られるケースはあるようだ。デュシュッツプラスタープと近い形をした同じブランドのLunarSolo(ルナーソロ)が夜中3時に倒壊するホラー動画がこちら。
動画によるとガイラインが切れたそうだ。どこが切れたかにもよるが、予備のガイラインで修復できない場合は再建不能に陥る。
デュシュッツプラスタープやルナソロはメイン生地がシルナイロンで湿気や水分を含むと伸びやすい。なので寝る前に改めてテンションを引き直すといった対策があるかもしれない。ピンと張った生地が風を受け流しやすくするためだ。
多くのレビューでワンポールシェルターは稜線上ではおすすめされていない。私は今のところ無事だし、Six MoonのテントをはじめUL系のワンポールシェルターはアルプスのテント場でみかけるので、大丈夫だと思いたい。
強風で居住性は悪くなる
ワンポールの宿命だろう。外側から風に押された幕が顔にひっついたりする。この辺も眠りで意識を失いつつも「ひっついてんなぁ」とぼんやり感じる程度で、私は寝れないほどではない。些事ではあるが、気になったことなので書いておく。
モンベル最強
今まで何を書いてきたんじゃ、と思われるかもしれないが、モンベルのストラテリッジ1は最強だと思う。どこでも安心して寝られる。重さも1.3kgほどと最軽量ではないが軽い。これ以上軽いダブルウォールは生地が薄すぎて風で破れると聞いたことがある。
国内メーカーでサポートも悪くなさそう。アルプスのテント場では圧倒的No.1のシェアを誇っている。今まで書いてきたようなデュシュッツプラスタープの短所など一切考えなくて良い安心感がある。テント泊を始めたい人は迷わず買って間違いのない代物だ。
なんにせよメッシュいらない
デュシュッツプラスタープに戻る。一年間使ってみて「メッシュいらないな」と思うようになった。虫は大して気にならないし、布地がメッシュのぶん多いので山行中に比較的乾きにくいというのもある。
でもメッシュがなかったらフロアレスシェルターそのものに移行することもなかっただろう。移行してみて、もうダブルウォールに戻れない気がしている。
山と道HPにある記事でこんな下りがある。
まったく同じ感想を持っている。フロアレスだとフロアを自前で用意するぶん、よほど壊れたり破れたりしたら取り替えるのが簡単だ。農ポリなど軽さを追求しても、好きな色や柄を選んでもいい。でもメッシュはいらないので、次は同じブランドのgatewood capeを買おうかと悩んでいる。
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