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エフェクチュエーション理論でベンチャー創出のプロセスは説明できない理由

南極でも北極でも発芽する種はありますか?

 今回紹介の論文の主旨はこういうことです。経営学そのものが個人論から環境論へと変化しているなか、どのような社会においてもある一定の振る舞いをすれば成功するのだという考え方はもう過去のものとなっています。

なぜ今日においてもエフェクチュエーション理論という学生さんがいるのやら?

 この論文が出た2020年以降は個人の英雄譚ではなくEco Systemという環境論が主流で、個人行動からの説明は、ある特定の時期の特定の場所では有効かもしれないが、国どころか同じ国の中でも都市を変えれば成り立たないというのがこの論文の結論です。

起業家は、ライフコースを通じて、特定の時間や場所で特定のタイプのベンチャーを創出し、運営することを可能にする資源(スキル、資金、社会的つながり)の蓄積を促進したり、妨げたりする複数の構造的・文化的地位に置かれており、エフェクチュエーション理論のような考え方は場合によっては、新しいベンチャーを生み出すことをまったく妨げたりする。

Contesting effectuation theory: Why it does not explain new venture creation

根本の問題は英雄譚

 前回ハクバノ王子サマ幻想の話をしたのはこの論文紹介の露払いでした。
英雄譚はもはや理論ではないのです。

起業家精神に関する研究によく見られる、社会性の乏しい「英雄的」起業家が新規事業の起爆剤となるという仮定。
the underpinning assumption of the under-socialised ‘heroic’ entrepreneur as the instigator of new business ventures, an assumption common in entrepreneurship research

Contesting effectuation theory: Why it does not explain new venture creation

結論

エフェクチュエーション理論は、ベンチャー企業の創造に対する社会構造的・文化的文脈の実質的・広範かつ持続的な影響に十分に配慮していない。説明力の高い研究は、ベンチャー企業の創造を、構造的・文化的・行動的な因果関係の相互作用から生じる社会歴史的プロセスと考え、新進の起業家が特定の時代と場所で特定の企業を形成する方法を、誤りなく理論化できるものでなければならない。我々は、エフェクチュエーションの起業研究への貢献は、その提唱者が主張する以上に限定的であると結論付けている。

Contesting effectuation theory: Why it does not explain new venture creation

それにしても・・・

 2020年以降エフェクチュエーション理論なんて教えている人はいないと思っていたら・・・学生さんってどこから仕入れてくるのやら???
この論文はOpenなので👇から読むことができます。

https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/0266242620904638


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