強い子と弱い子。
美香「ね~ね~」
私(琴音)「うん?どしたぁ?」
紗耶香「話聞いてなかったの?ほら、みんなで遊園地行こうよって。」
私「あ、?あーうん。聞いてたよ!」
成美「よかった。今奇数だからもう一人欲しいんだけど女子がいいんだよね」
健一「俺たちも、きっぱり偶数がいいんだよな」
美香「で、もううちのクラスの女子はほとんど誘ったけど、、、」
浩二「もう、、アイツしかいないんだよな、、」
(みんながみてるのってもしかしてあの子、、、?)
美香「たまにはぼっち抜け出さしてあげよーかなぁって」
(う、、めちゃくちゃ上から目線、、
あ、!みんなあの子のとこ向かってる、、!)
成美「あんた、いっつもそうやってひとりぼっちでかわいそ~w」
紗耶香「特別に遊園地ついてきてもいいけど?」
美香「ほら私たち一軍メンバーとつるめるなんて最初で最後かもよ~?w」
(傷ついてないといいな、、)
心美「ほ、ほんとですか、、?行きます」
(めちゃくちゃ無理しているように感じるけど、、)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ママ、お風呂出たよ~」
髪をバスタオルで拭きながら、部屋に入るとピコンと通知の音がした。
(遊園地に行くメンバーで作ったグループline、あの子だけは入ってないけど、そこにメッセージが入ってる、、!)
(あ、美香ちゃんって裕君が好きなんだ、、一緒に乗るためにわざわざ遊園地に誘ったんだよね、)
(美香ちゃんのためにも、私が乗ろう)
(はぁ、このままでいいのかな~)
ベッドにダイブする。もう眠い。今日は寝ちゃおう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
遊園地当日。
高峰バスに乗り込むと一番後ろの席にみんなが並んで座っていた。
、、もちろん美香は裕君の隣。
「おはよう!みんな今日は楽しもうね」
私も、紗耶香ちゃんと成美ちゃんの間に入れてもらった。
これで、ほとんどそろったけれど心美ちゃんだけがいない。ボッチの子だ。
私「ねね、心美ちゃんってどのバス停から乗ってくるのかな。」
美香「さぁ、私心美ちゃんに違うバスを教えちゃったかも~、まいっか!」
不敵な笑みを浮かべた美香ちゃんが言った。
いじめ開始。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
スイカがぴっ!という音を立てて私たちはバスから降りた。
目の前には大きなジェットコースターやバンジージャンプの台が見えていた。
それでも心美ちゃんがいない。
(誘った意味あんのかな?)
美香たちが自分たちで仕組んだ心美ちゃんの遅刻を電話でさんざんせめて、急かしていた。
もうすでに入場してしまっている。
お化け屋敷に並びながら、にやにやと電話をしていた。
「あ、、あごめんなさい。ほんとに」
スマホから漏れてくる声はかすかにふるえている。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
汗だくになりながら心美ちゃんが入場してきた。
美香は、あくまでも遅刻してきた子を許してあげる優しい女の子を演じているようだった。
そしてそのままお化け屋敷に入った。
美香「ねぇー、怖いー、祐太郎助けてよぉ」
浩二「達也、これヤベェな、怖すぎだわ」
沙也加「ほらぁ、琴ちゃーん、そんなにブルブル震えてないで行くよ!ほら男子もへにょへにょすんなー!」
美香ちゃんは、祐くんと。
浩二は達也、成美ちゃんと。
健一と山ちゃんは、私と沙也加ちゃんにちょっかいをかけながら進んで行った。
真っ暗闇の廊下を進んでいると、心美ちゃんの泣き声が少し聞こえた。
「う、、助けて、、」
美香ちゃんは気づいてないふりをしてたけど、地獄耳の私にはハッキリ聞こえてきた。
でも心美ちゃんの姿が見えなかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
祐太郎「フゥ〜、終わったぁ。意外と怖ったわ!な、美香w」
浩二「てか、あのボッチちゃんは?」
祐太郎「あ、おれ探してくるわ!ごめん先行ってて、LINEするから!」
祐くんは来た道をもう一度戻って行った。
美香ちゃんはいつもの可愛い顔とは違って、鬼のような顔をしてた。
沙也加ちゃんもみんな怒ってて、合図を送っていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
その後も美香ちゃんたちは容赦しなかった。
ワンワンコースターでは、1人だけ違う便に乗せた。そして心美ちゃんがいなくなれば先に行く。
似たようなことを続けたけれど、私以外はきづいてないようだった。
帰り道、やっぱり心美ちゃんを省いてバスに乗った。結局、いじめを止められなかったなぁ、、と落ち込んでいると、祐くんが喋りだした。
「心美って可愛いよな、、おれ好きになっちゃったかもしんねぇ」
えー!!!!!!!!
皆がバスの中だと言うのに大声を出した。
無理もない。
「だって、お化け屋敷で泣いて、床に倒れ込んでたとき、弱っちぃけど可愛いって思った。手を差し伸べると小さな手が弱い力で握ってきて。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
それから、間もなくして祐くんと心美ちゃんは両思いになった。
美香ちゃんたちはクラスを敵に回し、落ちこぼれたやつとして扱われた。私は関係ないみたいだったけど、謝っておきたいと思った。
私「ごめんね、、心美ちゃんこの前は遊園地でみんな酷いことをしてた、止められなくてホントにごめんね、、、」
心美「いいよ、、ホントにありがとう!祐太郎くんとも両思いになれたし、また宜しくね!」
性格がだいぶ変わって驚いたけど、とっても良い子だなって気づいた。
ーーーーーーーーーー心美ーーーーーーーーーー
新学期
転校生がやってきた。
美香たちはコイツだっ!というようにその子を見つめていた。
1年前の私みたいに弱っちぃ子。
私もそうだったからわかる。
だけどね、ホントに弱い子って美香たちなんだよ。
あの子も分かってるといいな。
後ろを振り返ると、琴音もいた。
琴音も美香たちが企んでいることにきづいているみたい。
「いくよ!」
「うん!」
ドカドカと進む!私達はもっともっと強いんだから!!美香達なんかより強いんだから。
「ね、ね、私達と遊ばない?今日からよろしくね!」
転校生がにんまりと頷いた。