グローバル人材とジョブ型について。
コロナ禍となり、海外勤務の方々が続々と帰国をされています。
駐在員を主とした海外勤務経験者が、帰国の前後で転職を選択肢とする方は珍しい事ではありません。同記事によると帰任後2年間での退職率は25%にも及ぶとの事です。
https://diamond.jp/articles/-/125453
この理由については多種多様なのですが、主に2点。
1. 裁量権のギャップ
海外現地法人での就業は、裁量権が大きく、意思決定出来る幅が非常に広くなります。帰国後、いかに上級管理職であったとしても、その裁量の違いは歴然であり、必然的に自分の業務の幅が狭まるという感覚を受ける方が多くなるため
2. 評価のギャップ
本社側が海外での就業を適切に評価出来ない。本社からすると海外就労はいわば精神と時の部屋であり、見えないからこそ適切に評価が出来ない場面を良く見かけます。海外で切った張っただのビジネスをやってきて、帰ってきたら取り敢えず空いているポジションが充てがわれる、知らない間に本社勤務の同期が昇格をしている、など期待値と評価のギャップが生じるため
では、どうすればいいのか?
幾つか手法論はありますが、一つの答えとしては、ローカル採用を前提とした組織運営に切り替える事で、その鍵となるのが昨今話題でもあるジョブ型雇用でもあると思っています。
そもそも駐在員というような仕事は存在せず、いずれの場合も何かしらの役割を与えられて渡航や帰任をしている事となります。
人を基軸とせず、ポジションを基軸とした考え方にすれば、そのポジションに適切かどうかの評価がなされるため、海外と本社での勤務評価にギャップが生じません。任期という謎の定めもなく、適切なポジションが空いたタイミングで社内でアプライをする仕組みにすれば、与えられた裁量権のギャップに苦しむ事も減ります。
今も新橋ではこんな会話がされているかもしれません。
本社「そろそろ日本に帰って来い、帰任だ」
海外「分かりました」
本社「◯◯課の課長がちょうど空いている、ここで頑張ってくれ」
海外「え、今、本部長なのに課長ですか?」
本社「そう言うな、ここで結果を出せば俺が必ず引き上げてやる」
海外(同期はもう部長やってるのに…)
ポジションを前提とすると、
海外「本社◯◯部の部長職に自薦します」
本社「同職に際し、これまでの経験で活かせる部分を教えて下さい」
海外「◯◯や◯◯の経験は応用可能です」
本社「採用となりましたので4月1日より本社へ出社下さい」
海外(よし、頑張るぞ…)
本社(では、空いたポジションはグローバルから人を募ろう…)
この仕組を整える上でおそらく重要になる点は、グローバル統一基準であり、例えポジションがどこであっても国籍・性別・人種など問わず評価をする必要性が出てきます。本社採用の人間は優先と言うような、謎のバイアスを低減する必要があるためです。
また同一労働同一賃金という概念から離れてしまうと、このインターナルモビリティは上手に機能しなくなります。例えば、◯◯部長職に自薦してきた人の給与が高いから、◯◯部長職の給与を上げるなんて事をすると本末転倒となります。給与の幅は職務に帰属、それを受け入れる事が出来ないのであれば自薦すら避けるべきです。
こうしたインターナルモビリティを整備する上でも、ダイバーシティ&インクルージョンは必要なテーマであり、心理的安全性という言葉が重なります。
考えれば考えるほど、組織の課題というのは全てが隣り合わせであり、どれか一つを解決すればいいわけでないという点に難しさを感じざるを得ません。ですが、コロナをきっかけとして、世の中が少しづつ前に進んでいる実感があります。
特にグローバル人材の育成は各企業にとって今後一大テーマとなります。少しでもグローバルに活躍する人が増えたら嬉しいと思います。