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ストレングス・ファインダー「達成欲」を本当の強みに──その“終わりなき挑戦心”を解放せよ


あなたは日々の仕事で、自分の「得意なこと」や「強み」をどれだけ意識できているでしょうか。いつも成果を出したいと願いつつも、なぜか努力が空回りしてしまったり、「もっと効率よくできるはず」ともどかしさを感じたりすることはありませんか。実は、自分の強みをしっかり理解し、そこに注力する生き方をする人ほど、ポジティブに挑戦を続け、結果としてビジネスにおいてもプライベートにおいても充実感を高めていく傾向があるのです。

この「強みに着目して生きること」をサポートするツールとして、世界中で多くのビジネスパーソンが活用しているのが、ストレングス・ファインダーです。これは米国Gallup社が開発した診断ツールであり、「あなた自身が本来持っている才能の方向性」を見極め、その上でどのようにそれを強みに変えていくかを見出すきっかけを提供します。

ストレングス・ファインダーでは全部で34の資質が提示されますが、その中でも今回取り上げるのが「達成欲(Achiever)」という資質です。もしあなたが、「常に目標を追いかけ、やり遂げないと気が済まない」「次から次へとタスクをこなすとモチベーションが高まる」という感覚を持っているなら、この記事で取り上げる「達成欲」が強い傾向にあるかもしれません。


【1】「達成欲」の特徴〜終わりなき原動力

1.「今日も何かを成し遂げたい」という強い欲求

「達成欲」は英語で“Achiever”と呼ばれる通り、「何かしらの成果や達成感を得ないと、1日を終えた気がしない」という特性を持っています。朝起きると同時に「今日やるべきことは何だろう?」とすぐに頭が回転し、スケジュールにタスクを詰め込みたくなる人は、この達成欲が高い傾向にあると言えるでしょう。

たとえば、仕事でもプライベートでも“やらなければならないリスト”をつい作ってしまい、チェック項目をどんどんクリアしていくことに喜びを感じます。周囲からすると「そんなに頑張らなくてもいいのに」と感じるほど、常に自分にミッションを課し、そこに突き進むのです。

2. 次の目標を自然に探し続ける

「達成欲」の持ち主は、ひとつのタスクを終えても、すぐに次のタスクへと意識が向きます。目標達成の瞬間の快感を味わうと同時に、「もっとやれる」「まだ次がある」という興奮にも似たエネルギーが湧き続けるのです。これは多くの場合、周囲に対してポジティブな刺激を与えます。彼らの行動を見ていると、「自分も頑張ろう」と思う同僚や後輩が出てきたり、チームに活気をもたらしたりすることにつながりやすいのです。

ただし、この「次の目標を追い続ける」という性格は裏を返すと、休みを取ることに罪悪感を覚えやすいという一面もあります。常に何かをしていないと落ち着かない、仕事を溜め込んでしまいオーバーワークになる危険性もあるという点は、達成欲の特徴として見逃せません。

3. 数字や可視化された進捗を好む

「達成欲」が高い人は、自分の活動量や進捗状況が見える化されている状態を好みます。「今日何キロ走った」「営業成績が何件獲れた」「何時間勉強できた」といった形で、行動をきちんと測定し記録する習慣がある場合が多いでしょう。その記録が溜まっていくほど、「もっと伸ばしてやろう」「次はもっと上の水準を狙おう」とさらにやる気が高まるわけです。


【2】「達成欲」を本当の強みに進化させるための行動・思考のヒント

「達成欲」は非常にエネルギッシュで、ビジネスでも成果に直結しやすい才能です。しかし、一方で「常に走り続けていないと不安になる」「周囲を置き去りにしてしまう」というリスクを持つ資質でもあります。ここからは、そんな「達成欲」をあなたらしく、そして本当の強みとして活かすために心がけたい行動・思考のヒントをいくつか紹介します。

1. 達成欲に火をつける「やりがいのある目標」をデザインする

達成欲が旺盛な人は、「どんな課題に取り組むか」によってモチベーションの波が大きく変わります。ただ漫然と「毎日忙しく働く」だけでは、やがて疲弊し、本来の才能が行き場を失ってしまう可能性があります。そのため、自分が「達成欲」を最大限発揮できる環境設定や目標の設計を行うことが重要です。

たとえば、今の業務に新たな視点や挑戦的な要素を組み込んでみる方法があります。単に作業をこなすのではなく、「3カ月後に成果をどう測定するか」を決め、そこにコミットするやり方がよく合うでしょう。数字や期限を設定して自分に“目標”を課すことで、達成欲が自発的に火を噴きます。

また、仕事以外でも学習や健康面でのチャレンジ目標を置くことで、プライベートな時間もモチベーション高く過ごせるようになります。休日に新しい資格取得の勉強を進める、自分の健康を管理するための運動目標をつくるなど、人生のあらゆる場面で「達成欲」を喜ばせる仕掛けを考えてみてください。

2. 休息やメンテナンスを「達成タスク」として扱う

「休むことへの罪悪感」は、達成欲が高い人にとって大きな悩みのひとつです。仕事や活動をどんどん進めたい気持ちがある反面、「何もしていない時間」は無駄のように感じてしまい、結果として疲労が蓄積してしまうことも。また、達成欲に駆られて周りが見えなくなり、自分の心身の状態を振り返る余裕を失いがちでもあります。

そんな時は、休むことを「達成すべきタスク」と位置づける発想が役立ちます。たとえば「週に1回は8時間睡眠を確保する」「月に一度は丸一日、仕事のメールを開かない」など、“目指すべき休養の目標”を具体的に設定して、その達成を自己管理の一環として取り組むのです。こうすることで、休息自体を「やりきった!」という感覚に結びつけやすくなり、罪悪感を軽減できます。

3. チームや周囲へのサポートに「達成欲」を活かす

「達成欲」は、自分ひとりの成果に向かうことだけにとどまりません。プロジェクトやチームでの集団的な目標に対しても強く動機づけられるため、リーダーシップやマネジメントを発揮するうえで大きな武器となります。周囲の人たちに「どうすれば目標を達成できるか」を提案し、一緒にタスクをクリアしていく姿を見せることで、周りはあなたの行動力に触発されるでしょう。

さらに、「達成欲」をただの“タスク遂行力”で終わらせず、周囲の成功も自分の喜びに変える視点を持つと、組織全体にポジティブな波及効果をもたらします。そこに達成欲ならではの“勢い”が加わり、プロジェクトの推進役として活躍できる機会が増え、自分自身もチーム全員の達成に貢献できたという喜びを味わうことができるでしょう。

4. 「できたことリスト」を振り返り、自己肯定感を養う

「達成欲」が高い人ほど、過去に達成したことをすぐ忘れて、次の目標に走り出そうとします。しかしこの際、あえて「できたことリスト」や「これまでの成功体験」を振り返る習慣をつくると、自分の才能や努力をきちんと評価するきっかけになります。常に先へ先へと目線が向きやすいがゆえに、今の自分のレベルや既に積み上げてきた成果を見失いやすいのです。

週に一度でも「今週のうちに達成したことは何か」「どんな小さな前進があったか」を自分の手帳やスマホのメモに記録し、自分自身を承認してみてください。「達成欲」は前進し続けるためのエネルギーを与えてくれますが、その活力を持続的に使っていくには、過去の成果を“自分の自信”に転換する意識が不可欠です。


【3】もっと深く自分の強みを理解しよう

ここまで「達成欲」についてお話ししてきましたが、実際にストレングス・ファインダーを活用してみると、自分の中に眠っていた才能や、漠然としていた思い込みがクリアになることがよくあります。しかし、単に結果を一覧で眺めるだけでは、「自分の才能をどうやって強みに変えていけばいいのか」が、つかみきれないこともあるでしょう。

そんなときこそ、Gallup認定ストレングスコーチによるコーチングを受けることで、あなたが持つ資質の“生きた使い方”を具体的に発見できます。

コーチはあなたの言葉やこれまでの体験を丁寧に掘り下げながら、一人ひとり異なる資質の組み合わせを整理し、「それがどんな行動や思考に結びついているのか」を明確に示してくれます。例えば、「達成欲」が強い人がコーチングを受けると、次のような気づきが得られるかもしれません。

  • 「自分は“競争性”や“分析思考”も強いため、数字で成果を示す環境のほうがモチベーションが上がりやすいとわかった」

  • 「日常業務が、あまりにも淡々としたルーチンになっていて、達成欲を刺激する目標設定ができていなかった」

  • 「実は“調和性”も高く、周囲を支えることで自分も“達成感”を得られるタイプと判明した」

このように、ストレングスファインダーの上位資質や組み合わせを知り、自分自身の具体的な行動パターンを振り返ることで、これからのキャリアやプロジェクトへの取り組み方ががらりと変わる可能性があります。


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