解決に焦点を当てたコーチング ー ソリューション・フォーカスト・アプローチの実践と効果
コーチングを行う上で、重要なアプローチの一つに「ソリューション・フォーカスト・アプローチ(Solution Focused Approach)」があります。今回は、このアプローチとコーチングの関係について、具体的に解説していきます。
ソリューション・フォーカスト・アプローチとは?
ソリューション・フォーカスト・アプローチは、問題ではなく解決策に焦点を当てる方法論です。このアプローチはもともと、1980年代にアメリカの心理療法士スティーブ・ド・シェイザーとインスー・キム・バーグが開発しました。彼らは、クライアントが直面している問題そのものに深く掘り下げるのではなく、どのようにすれば望む未来にたどり着けるかに焦点を当てました。
このアプローチの最大の特徴は、クライアントの強みと過去の成功体験を引き出し、望む状態を実現するための具体的な一歩を見つけていくことです。問題に対する解決策が既にクライアント自身の中にあるという前提に立ち、過去の成功から未来の成功を築いていく姿勢が基本です。
コーチングにおけるソリューション・フォーカスト・アプローチの活用
ビジネスコーチングの場面では、特にこのソリューション・フォーカスト・アプローチが有効です。ビジネスパーソンは日々、多くの問題に直面していますが、問題そのものに意識を集中すると、どうしてもネガティブな感情に捉われてしまいがちです。そこで、コーチはクライアントに対して「今何ができるか」「どのような小さな成功を積み重ねてきたか」を問いかけ、ポジティブな視点を提供します。
例えば、クライアントが「チームのコミュニケーションがうまくいかない」と感じている場合、ソリューション・フォーカスト・アプローチを使うことで、「これまでチーム内でうまくコミュニケーションが取れた瞬間はどんな時だったか?」と質問をすることができます。こうした問いかけを通じて、クライアント自身がすでに持っている成功パターンを見つけ、その要素をどう再現できるかを一緒に考えることができます。
このアプローチでは、クライアントが前向きな変化を自ら実感できることが大切です。具体的な行動計画を立てるだけでなく、「次の一歩はどんな小さな行動にするか?」という問いを繰り返しながら、目標に近づく実感をクライアントに提供するのです。
解決志向の質問テクニック
コーチングでソリューション・フォーカスト・アプローチを取り入れる際、効果的な質問の使い方が重要です。以下はいくつかの代表的な質問例です。
「望む未来が実現しているとしたら、どんな状況ですか?」 — クライアントに成功した状態を具体的にイメージさせることで、そこに到達するための道筋が見えやすくなります。
「その未来を実現するために、今どんなことをしてみたいですか?」 — 具体的な行動を促すことで、小さな成功を積み重ねるきっかけを作ります。
「すでにうまくいっていることは何ですか?」 — クライアントが既に持っているリソースや強みを認識し、そこからさらに何ができるかを見つける手助けをします。
これらの質問は、コーチがクライアントと共に問題から抜け出し、解決策に焦点を当てて進むための強力なツールです。
おわりに
ソリューション・フォーカスト・アプローチは、問題の根本にアプローチするのではなく、クライアント自身が持つ解決能力を引き出すことで、望む未来に向かって行動を促すことができるコーチングの有効な手法です。特にビジネスの現場では、日々のストレスや困難に直面しているクライアントが、自らポジティブな変化を作り出す力を感じられることが重要です。
次回のセッションで、あなたもぜひこのアプローチを取り入れてみてはいかがでしょうか?小さな変化が積み重なることで、大きな成果へとつながっていくことを実感できるはずです。
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