育てているようで、育てられる。チームマネジメントも子育ても同じ。
私は今年から課長となり、部下を抱えています。
でも、これがチームを率いる初めての経験かというとそうではありません。
私が32歳、係長になった時に、2名の後輩とチームを組みました。一人は4年後輩、もう一人は9年後輩です。
係長になったときに、上司からは「自分一人で成果を出すのではなく、二人の後輩をうまく使って成果を出せるようになってほしい」と言われ、その通りだと思い、気合が入りました。
自己紹介記事でも書いたとおり、気合が入りすぎると私は大体ロクなことがないのですが…
期待に応えようという気持ちばかりが空回りし、後輩たちの管理ができませんでした。もちろん、二人の後輩は優秀で、好青年で、決してコミュニケーションがうまくいかなかったわけでも、後輩が身勝手なことをしたわけでもありません。
ただ、私がチームをマネジメントするときに何をすればいいかの作戦が全くなかったのです。もっというと、マネジメントとは何か、を考えられていなかったのです。
この時私は係長ですから、二人の後輩のマネジメントだけが仕事ではありません。私自身にアサインされているプロジェクトもありました。
しかし、チームマネジメントが上手くいかないと余裕がなくなり、個人プロジェクトも停滞してしまいました。
メールの返信が滞ったり、やらねばいけない分析や資料作成が進まなかったり。私の直属の上司である課長もこれはまずいと思ったのでしょう。
面談に呼ばれ、二人で本音で話しました。結果、「後輩のマネジメントはやめて、個人プロジェクトに集中して巻き返そう」ということにしました。
ところが、です。
課長が部長に対し、「彼に自分の仕事に集中させるため、チームマネジメントから外したい」と進言したところ、それは却下されました。
「後輩のマネジメントで悩み、乗り越えることでブレークスルーを期待したい」ということでした。
課長は「部長から却下されて申し訳ない、そういうことなので頑張ってくれ」と言われ、キツイなと思いながら受け入れました。
その直後、部長から面談に呼ばれました。
部長から、「課長から話は聞いた。悩んでいることも理解した。でも頑張ってほしい」と声をかけてもらいました。そして、「部下育成というのは、子育てと同じなんだよ」と言われたのです。
「そのココロは、相手を育成しているようで、実は自分が育てられている、ということなんだよ」
と言われました。
部長は私より20歳近く年上でした。
「私自身、若いときそんな風に思ったことはないんだけれど、子育てがひと段落して気づいたんだよね」
ということでした。
(私にはその時1歳の息子がいましたが、まだまだ新米父親だったので、そんな風に思ったことはありませんでした。その息子は今9歳になりましたが、改めて考えると本当にその通りだと思います。子供に教えられることばかりです。子供を見て、自分の悩みがなぜ起こったのか、その理由に気づく、ということもありました。また別にお話ししたいと思います)
当時、私はその話を聞いて、心を入れ替えました。「今、自分が完璧にやる必要はない。でも、精いっぱい頑張って、後輩と一緒に成長すればいいんだ」と思うようになりました。
そして、後輩二人を集め、「今まで二人の力になれなくて申し訳ない。僕も正直まだ手探り。でも、この機会は我々3人が成長するチャンスだと思うようにしている。僕自身、チームマネジメントのやり方でいろいろチャレンジするつもり。そしてその時は何をしたいか、ちゃんと話すので、そのチャレンジに付き合ってほしい。そして思ったことは何でも言ってほしい」という話をしました。
どのようなことをしたかは省きますが、3人のチームは2年ほど続きました。私自身、ここで様々な経験をして成長させてもらいました。そして、二人の後輩も成長してくれました。
彼らは今、それぞれ後輩を率いるポジションにいますが、私と一緒にチャレンジした手法を使ってくれていたりしますし、悩んだときは私に相談してくれます。
相談してくれた時も、私が一方的に指導することはしません。
もしそれが後輩に関する悩みなら、当時私が彼ら後輩に対して何を思い、何をしたかを話します。そしてお互いの意見を交わします。
ともに成長する気持ちで頑張ったチームメンバーとは対等に議論できます。今もそのような関係でいれることに感謝です。
後輩や部下はまだまだ成長できるし、彼らがいることで自分もまだまだ成長できる。お互いの未来のためにチャレンジし続けることがチームマネジメントをするうえで重要だと信じています。