カバ雄ファミリー
俺は根無し草
旅に旅を続けてさすらっている
楽器こそ弾けないものの
どこか吟遊詩人な自分酔いしれていた
ここがどこかなんて気にしたことはないが
なんだか距離感気にしなそうな
カバに急に話しかけられた
「君はこの辺ではみない顔だねー
名前はなんていうんだい?」
『俺はきゃらをっていうんだよ
なんか腹減ったなぁ~
この辺で飯を食えるところないかな』
「いつもはお腹が空いた頃に頭を
ちぎって分けてくれる人がいるのだけど」
それは何?怖いことを言い出したか?
俺が迷い込んだこの辺りの世界は
とんでもないホラーな世界なのだろうか?
カバが話しかけてくることも不自然だが
そもそも俺のフォルムも不自然だから
そこは言ってもはじまらない。
だけど頭をちぎって分けるって何?
という状況は想像できないな。
「まぁ待ってても仕方ないし
僕のうちにおいでよ
お母さんが美味しいケーキを
焼いてると思うんだ。
よかったらご馳走するよ」
なんでこいつこんな良い奴なんだ
見ず知らずの俺にこんな申し出
裏があるのかな?
俺を腹いっぱいにして
油断させて罠にかけるとか?
でもこの間抜けそうなカバなら
油断しなければ大丈夫そうだな
ぐ~~~~~~~
ぐ~~~~~~~
『いいのかい?』
お腹が鳴ってしまえば
背に腹はかえられない
お邪魔することにしたんだ
「あらカバ雄、そのお友達はだ~れ?」
「母さん、さっき知り合いになった
友達だよ。お腹すいてるんだって」
母親の顔かなりいかついな。
ちょっとイノキ入ってないか?
てかこれは母親か?それと、4足歩行なの?
割とまんまカバだけどそのフォルムで
どうやってケーキ焼けるの?
あんまり俺が怪訝そうだったので
カバ雄が話しかけてきた
「気になった?」
『ちょっとね』
「だよね、カバ『雄』だもんね
本家はカバオだものね。」
いやそこじゃないっ!!
そこはお前、作中の話だから
気にはならないし、
てかしちゃいけないところだよ
「まるまる一緒にするのはちょっとね
これ有料記事だしね」
何の配慮をしているんだこいつは?
ごだんごだんごだん
ごぉおおおおおおおおおん
不意に物凄い音がキッチンの方から
鳴り響いた。
とっさに警戒したけど母親の声がしてきた
「あら~~ケーキ落としちゃった
やっぱり四足歩行じゃだめみたいね」
今なのか?
その気付きは当然としても
今なのか!?
人型の家に住むには
4足歩行では合わないだろう
「システムキッチンってだめね~」
だめなのはシステムキッチンではなく
お前のオツムだっ!!
ケーキを食べそこなっただけではなく
余計にカロリーを消費している気がするぞ
とっとと出て行って川で魚でも捕まえた方が
エネルギー確保にはむ向いているかもしれない
「ただいま~」
今度は成人男性の声がした
「わーパパお帰り~~」
!?!?!?!?!?
驚いた。どういうことだ?
人型でしかもハンサムじゃないか
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