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AI田中

それまではずっと普通の
会社でサラリーマンをしていたのに
急に水道屋として独立する
そんな意味不明な転職があるならば
それは俺だろう

俺が転職したときには
世の中は既に人工知能が人間の思考と
同等のレベルまで到達しており
人権まで取得している状態だった

水道屋で現場に出るので車が必要だし
予算は無いのだけど、最初だし
長く使いたいので新車の軽自動車を買った

正直に言うと車なんてほとんど知らないから
中古車を買っても1か月しか保証してくれない
それなら新車を買おうという気分だった

新車にはAIがついていた
自動運転とまではいかないが
AIに話しかける

しかも人権が有り
購入するまではその人格を選べなかった
選べてしまうとAIの人権侵害に
なるとかなんとか

メーカーの方で車を家の前まで
届けてくれた。

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初めてエンジンをかけた時
それは自己紹介から始まった

「やー君の名前は?」
どんな人格なのか正直怖かった
気難しい人格ならばいやだなと

最初の第一声の印象は
随分軽い印象だった

俺は自分の名前を伝えた
「そうか、俺は田中だ。よろしくな」
「しかし、この車は何に使うんだい?」
「ほほう。水道屋か」
「なるほどな、なら現場多く回って
 できるだけ稼がないとな」
「移動が肝だろうからな、俺に任せて!」

彼はせわしなく話しかけたきた
正確には男か女かはわからないが
声質が人間の男性の声質なので男だと思った

正直、水道屋になったとはいえ
殆ど修業期間もないまま
強制的に独立を余儀なくされた時
俺は現場に行くのが実は怖かった

だけど稼がないと
それは生活困難に直ぐなるから
不安で現場に向かう毎日だった

そんななかで田中はいつも頼もしかった

「大丈夫だって、お前ならできる」
「お前はいつだって解決してるだろう」
「解決できないときは、一緒に業者を探そう」

田中は凄く心強い

なんていうのかな
1+1が5にも10にもなるような気持ちだ

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