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映画どんぐりころころ

少年時代はサッカー部だった
大学で急に演劇部に入ったことと
男女比が9対1だったこととは
無関係ではない。

そしてそのまま
大学は没落して役者になると
嘯いて就職もせず
親の脛を齧りながらフリーターを続けていた

そんなある日
映画を撮るとのことで
主役級の話が急に舞い込んできたんだ。

なんでも映画のタイトルは
「どんぐりころころ」と言う話だ。

どんぐりころころは童謡だ
そんな事は知っている
水戸黄門のテーマ曲に
合わせて歌っても様になる音調

それを題材にした話で面白いと思ったんだ
池にはまるとか、それは
人生において泥沼のようなことなのだろうか
それでも楽しく遊んでいる
若者たちの映画なのかな?


俺もまだ20代前半で
そんな俺を主役に起用するには
やはり若者の映画なのだろうな。

初めての顔合わせ
監督は少し威厳のありそうな人だ
しかし何故に俺が選ばれたのか?

全く面識がない
他の役者を見れば有名人はいない
監督が挨拶してきた

その話の中で、まだ無名の役者だが
腕のある若者を世に出したいとのこと
そんな言葉を聞かされたら
燃えないやつなどいるのだろうか?

俺は熱くなった

しかし台本は渡されなかった
まだ悩んでいて書ききれてないとのことだ。
撮影日と撮影場所だけ決っていた。

各々現地集合らしい
場所は牛久沼。茨城県だ
台本もないのにセリフを覚えられるか
心配ですと伝えたら

監督に言われた
「そこはそんなに大事じゃない
 今回の映画は言葉じゃないんだ」


謎だ。言葉じゃないってなんだ?
全ては謎だった。

だがわくわくもした
そして撮影初日を迎えた

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台本が初めて渡される
台本のチープさにも驚いたが

ADさんから渡された衣装にも驚いた
衣装と言うよりは被り物で顔が結構出ている

これはコメディー映画になるのだろうか?

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ちょっと雑すぎはしないか?

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